こんにちは。
新宿区議会議員の渡辺やすしです。11月28日より、新宿区議会第4回定例会が開催されます。渡辺やすしは11月29日の一般質問に登場します。
今回は、以前このHPで明らかにした事故が多発している電動キックボード対策に加え、私が公文書公開請求で明らかにした、新宿区立児童館指定管理者の不適切な会計管理の実態について、区長に糺します。
「令和5年度新宿区立児童館指度指定管理者の管理業務に係る事業評価」では、ライクキッズ株式会社が運営する高田馬場第一児童館の管理運営経費に関する評価は1.5と厳しく、特に「適切な会計」の評価は1.0と事業評価ではめったにない低評価がされています。また、株式会社ポピンズエデュケアが運営する上落合児童館でも管理運営経費に関する評価は1.5、「適切な会計」の評価は1.0、東五軒町児童館でも管理運営経費に関する評価は1.5、「適切な会計」の評価は1.0と、同様に低評価となっています。
令和4年度の事業評価では、同じ指定管理者に対し、高田馬場第一児童館は「予算額と実績額に開きが生じている科目が散見されるため、積算根拠の精度の向上を求める」、上落合児童館は「予算額と決算額の執行率に一部開きが見られ、総予算額と総決算額の執行率に開きが生じているため、積算根拠の向上と計画的な支出を求める。」と指摘があるにも関わらず、一切改善が行われていません。
そこで、新宿区情報開条例に基づき、これら児童館の令和5年度の収支実績を公文書公開請求しました。予算額と決算額そのものについては黒塗りでの開示でしたが、予算のどれくらいを実際に使ったかがわかる執行率か開示されたので、2つの児童館の不適切な会計管理について明らかにすることができました。
すると、令和5年度の高田馬場第一児童館の執行率は、教材費、行事費がともに29.3%、福利厚生費が255.6%、備品購入費が269.7%、その他委託料が965.6%、上落合児童館の執行率は使用料および賃借料が38.9%、保険料が20.8%、東五軒町児童館の執行率は、教材費が45.5%、行事費が44.9%、研修費が0%、支出計の執行率が81.0%と、予算額と実績額に大きな開きがある科目が散見されることが明らかになりました。令和4年度も同様に、予算額と実績額に大きな開きがあります。
確かに、新宿区の指定管理者の会計管理においては、予算額と実績額の差を「利益」とする構造があるので、執行率が100%でないこと自体をただちに批判するものではありません。例えば、事業者の経費削減の努力により、ある目的に対し必要経費が削減され、執行率が下がり結果としてその差額を「利益」として事業者が受け取ることは、問題がないと考えます。
しかし、それは適切に予算額が積み上げられ、かつ目的に対して適切に執行されていることが前提となります。たとえ支出額全体としては適切に執行されていたとしても、項目ごとに予算額と実績額に開きが散見されることを許せば、指定管理者が目的外のために予算を使うことを認め、不正が起こる温床となりますし、そもそも第三者が予算と執行をそれぞれ適切なものかを評価することが困難となります。区長での一般質問では、新宿区として、令和5年度予算額と実績額に開きが散見された3つの児童館の会計管理に関し、どのような課題意識を抱いるのかを問います。さらに、2つの事業者では令和4年度の事業評価で会計管理について厳しく指摘したのにも関わらず、令和5年同様の問題が発生していることを受けて、再発防止策についても説明を求めます。
また、今回の指定管理者の不適切な会計管理の背景には、民間事業者に不可欠な「利益」が予算にあらかじめ盛り込めないことがあると考えます。板橋区では、指定管理者との基本協定を締結する際に、税理士会が算出した妥当な利益率を上限として、予算が決められ、修繕費、備品購入費など、経営努力によらない事由により執行残が生じる性質の経費は精算するとされています。そこで、指定管理者に適正な利益率を認めた上で、予算を積み上げ、その執行を評価し、執行残に関しては精算する方法について検討するべきではないか、と提言します。
また、今回の第4回定例会では、区長提出議案として、来年度以降の、高田馬場第一児童館と上落合児童館の指定管理者を今まで不適切な会計管理を行ってきた、ライクキッズ株式会社と株式会社ポピンズエデュケアに引き続き担当させるという議案(103号議案、104号議案)が提出されています。
こちらについても、本会議に続き、行われる文教子ども家庭委員会でしっかりと質疑し、引き続き指定管理者を任せることに問題はないのか、を議論をけん引していきます。
渡辺やすしは、今後も公文書公開請求で、行政にとって不利益な事実を引き出し、税金の適切な使い道についてチェックしてきます!