議会活動

物価高騰対策臨時給付金にも世代間格差が!補正予算での新宿区民の税金約23億円の投入の効果は検証されるべきです。

こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。

 明日2月1日、臨時議会が開かれます。令和5年度の補正予算として、「物価高騰対策臨時給付金」が約30億円規模で予定されていて、その審議および議決を行います。

 こちらは、物価高騰により影響が大きい、相対的に所得が低い世帯に対して、給付金を支払うという施策です。具体的には、①住民税非課税世帯(住民税と均等割と所得割の両方が課せられていない世帯。年間所得:同一生計配偶者または扶養親族がいる場合は、35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円 ひとり世帯の場合は42万円。障害者・未成年者・寡婦またはひとり親の場合は135万円以下)、②住民税所得割非課税世帯(住民税の均等割りは課税されているけど、所得割は課税されていない世帯。年間所得:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円 ひとり世帯の場合は45万円)、③住民税は課税されているけど、世帯全体の合計所得が300万円未満の世帯にそれぞれ給付金が支払われます。ただし、③については、18歳以下の児童がいる世帯だけが給付対象です。

 ①<②<③、の順番で所得は大きくなります。新宿区では、①は71000世帯、②は4500世帯、③は52000世帯(うち、対象児童は3200人)となっています。

 国からの財源は約7億円、新宿区独自の財源は約23億円、であわせて30億円が給付されます。大半が区の独自財源&独自施策となります。

 国からのお金で行われる給付金は全国一律で、①の18歳以下の児童について一人5万円支給、②の全世帯に対し10万円、および18歳以下の児童について一人5万円支給が行われます。これに加えて、新宿区独自で、①の全世帯に対して3万円、③の18歳以下の児童一人について1万、を支給します。新宿区独自支給としては①の全世帯への支給が約21億円と圧倒的に多い金額となっています。

 なぜ、新宿は独自で①の世帯に21億円を支給するのか、をご説明します。

 そもそも上記の説明を見て、国が所得が低いはずの①の世帯には児童にしか支給をせず、相対的に所得が高いはずの②の世帯すべてに10万円を支給していることに不自然さをまず、感じるのではないでしょうか。実は、この補正予算とは別の枠組みで、①の世帯には10万円が給付されています。昨年の春に7万円、今年の冬に3万円に計10万円が物価高騰対策臨時給付金として、(国の財源として)支給されています。ですから今回、②の世帯に10万円が給付され、①の世帯も、②の世帯も、等しく国からは10万円が支給されることになります。

 しかし、春に国から①の世帯に3万円が支給されたとき、新宿区では②の世帯と③の世帯にも新宿区独自の施策として3万円を支給しました。と、いうことは、もし今回、新宿区が①の世帯に独自で3万円を支給しないと何が起こるでしょうか?①の世帯は(国からの)春の支給3万円+冬の支給7万で、10万円、②の世帯は春の新宿区からの独自支給3万円+今回の国からの支給10万円で13万円の支給ということになります。最初に確認したように、②の世帯のほうが①の世帯よりも所得は多いです。にも拘わらず、国と区からの支給をあわせたら、所得が高い②の世帯が3万円も支給額が多いという矛盾したことになってしまいます。そこで、今回、同じく13万円ずつの支給とするために、新宿区は23億円の独自財源で、①の世帯に3万円を支給することを決めました。

 23億円というお金は、小学校は1校建設できるくらいの金額です。今年4月から実現する小中学校の学校給食費の無償化に対する予算は、昨年秋の段階で、11億円と算出されていますから、いかに大金を投入しているかがご理解いただけるでしょう。あらためて、新宿区独自のお金を23億円も投じて、物価高騰対策の臨時給付金に「ばらまく」ことが本当に効果のあるお金の使い方なのかを検証しなうてはいけません。

 確かに、所得が高い②の世帯のほうが、給付金額が3万円多くなってしまうことは問題ですし、新宿区独自の施策として、③の世帯の児童一人に対して一人1万円を給付することも評価します。ですが、この給付金の受給者は高齢者に偏っているという事実は見過ごせません。この給付金は所得制限はありますが、資産制限がありません。ですから、仕事を引退し年金で生活している高齢世帯にどうしても給付が偏る構造があります。新宿区の場合、①の世帯数が71000世帯に対し、①の世帯のうち5万円が給付される18歳以下の児童数はわずか4900人です。①の世帯の中で子育て世帯、現役世帯が少なく高齢世帯がいかに多いかがわかると思います。

 23区でも新宿区同様、区独自支給で、物価高騰対策臨時給付金の上乗せを行っているところは存在します。現在、発表されているものを確認したところ、港区→所得制限なし5万、品川区→ひとり親世帯5万、足立区→低所得子育て世帯5万、江戸川区→住民税非課税世帯5万。となっています。江戸川区を除いては、高齢者に偏る支給ではなく、足立区、品川区においては現役世代への支給となっています。

 私が再三主張しているように、現役世代の高齢者世代では、税金の受益と負担の関係において、大幅な世代間格差があります。人が生涯にわたり、政府や自治体に対してどれだけの負担をなし、どれだけの受益を得るのかを財政的に評価する「世代会計」の推計をみると、2001年の内閣府の調査では1939年以前生まれ世代が生涯を通して5700万円の受益超過であり、70年から79年生まれ世代が1300万円の負担超過となっています。

 その中で、さらに受益者が高齢者層に偏る給付金を新宿区独自の加算で上乗せする必要は薄いと考えます。せめて、所得だけでなく「資産制限」などは検討されるべきです。また、物価高騰が続いていく場合、永遠に給付金により財政出動を行うことも現実的ではありません。

 今回の補正予算で、①の世帯に上乗せ給付を行わないと、②の世帯への給付金額と不平等が生じるという点に一定の理解をし、③の世帯年収世帯の児童に対して1万円の独自支給を行う点を評価し、私は今回の補正予算自体に賛成はいたします。ですが、そもそも春の段階で、①の世帯への新宿区独自の上乗せ支給は妥当だったのかの検証を行うとともに、次年度におきましも、所得だけでによる一律給付の給付金は、世代間格差を是正する側面から区としては行うべきではないという視点から令和6年度予算の審議に臨みます。

 

 

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