議会活動

今年4月から行われた新宿区の小中学校の学校給食費無償化。半年が経ってその実態が明らかに!

こんにちは。

新宿区議会議員の渡辺やすしです。

今年、4月から新宿区では、所得や公立私立の区別を問わず、学校給食費が完全無償化しました。学校給食費の無償化は私の選挙のときの公約で、当選以降、何度も公約実現に向けて議会で訴え続け実現したという経緯がありました。

ですが、政治家の仕事は公約を実現して終わり、制度が整備されて終わりではありません。実態として「学校給食費無償化」が実態を伴っているか検証を重ねていくことが重要なのです。

 8月16日発売の都政新報で気になる記事が掲載されました。

 この記事のポイントをまとめると、従来、保護者負担であった学校給食費が公費負担になったことで会計が厳密化し、①従来は翌年に繰り越していた余った給食費を学期ごとに区に返還しなくてはいけなくなり、実質的に給食費に使われている予算が減少し、給食の質が低下している、②給食費の会計が公会計化するのではなく、いわば補助金のように各学校ごとに給食費に相当する金額が各学校に振り込み、余剰金を戻す方式になっているので、各学校の事務負担が軽減されていない、という問題が発生している区があるということでした。

 この記事を受けて、さっそく、23区の学校給食費の状況について、新宿区教育委員会学校運営課および他区の学校給食担当者への取材に加え、公開情報などを私が独自調査をしました。

 そもそも、「給食の質」は各区の、給食費の1食あたりの単価に左右されます。地方自治体はそれぞれ独自に給食の一食当たりの単価を定め、それに1年間の喫食回数をかけた金額が給食費の予算となります。無償化前はそれを12で割った金額を保護者に請求していましたし、無償化している自治体では、税金から給食費の予算として各学校に配分されます。

 各区の給食費単価の現状は、公益法人東京学校給食会が発行する広報誌「とうきょうとの学校給食」(令和6年5月号)で明かされています。http://www.togakkyu.or.jp/spread/pdf/466.pdf

 これを読むと、23区という同じような材料の仕入れ価格である自治体でも、それぞれ一食あたりの給食単価が大きく異なることがわかります。本年度は物価高騰を受けて多くの自治体で給食単価の見直しが行われました。小学校低学年の場合、新宿区では給食費の単価を低学年では今年1食53円上げていて、上げ幅として渋谷、港に続いて23区中3位。一食当たりの単価は300円も渋谷、港、台東に続き4位で、277.82円を大きく上回ります。

 都政新報の記事にあるように、給食費が無償化、つまり区民の税金で支払われるようになったことを受けて、給食費を抑えようとする流れもある中で(物価高騰で食材費が高くなっているにもかかわらず、大田、北、世田谷、葛飾では給食単価を1円も上げていません)、新宿区は過去最高レベルで給食単価をあげています。これは単に給食費を無償化すればいいというのではなく、きちんと質を担保していくべきであるという新宿区の姿勢の現れで、高く評価します。

 私自身も、6月26日の文教子ども家庭委員会の視察で、江戸川小学校を訪れ、無償化以降の提供されている給食を試食しましたが、質・量ともに十分なものでした。

 

 次に、無償化にともない学校の事務作業量の問題です。23区では、世田谷区、港区だけが給食費を公会計化していて、新宿区を含め残りの21区は私会計です。世田谷区、港区は、給食費の無償化に先立ち、世田谷区で平成30年、港区では令和5年に私会計から公会計化が進められていました。

 そもそも、給食費の公会計化については、無償化以前から新宿区をはじめ23区で議論がされていました。無償化前の公会計化のメリットは、①保護者から給食費を集めて、滞納があればそれを徴収する、という教職員の労務を軽減すること、②私会計ではシステムの都合でゆうちょ銀行にしか給食費を振り込めない問題を解消できるという保護者の利便性の向上、③給食費が学校長名義の口座に振り込まれ、そこから材料費なども支出されているという状況を改善でき、お金の出し入れについて透明性が担保できる、という3点です。特に①の多忙を極める教職員の労務軽減は緊急の課題でした。

 無償化(給食費を税金で賄う)にともない保護者から給食費を集める業務は発生しなくなったので、①と②の、問題は解消されました。給食費の徴収、および滞納者への督促は大きな教職員の負担だったため、これがなくなったことは教職員の働き方改革にも大きく寄与しています。都政新報の記事では半年ごとに学校が余った給食費について区に返還する業務が発生する、という指摘されていますが、無償化に先立って公会計化している港区と世田谷区でも、学校教職員に代わって教育委員会が給食費を徴収していましたが、支出に対しては各学校ごとに予算化した給食費を渡して、各学校の栄養士が食材業者にお金を支払い、学級閉鎖などで給食がなくなり余った給食費の予算については区に返還するという運用がなされているので、私会計も公会計も現場の教職員の労務量に変化はありません。

 ですが、③お金の出し入れの透明化、という点では課題が残されているのも事実です。私会計のまま給食した新宿区では補助金のように、新宿区から学校長の口座に(税金から予算化された各学校の)給食費を振り込み、そこから食材費が支払われるという運用がなされているため、通常の公金の出し入れに比べ、監視がしづらい構造にあるというのは事実です。無償化以降、公会計化について議論する声は小さくなりましたが、会計の透明化という課題はいまだ残されているので、引き続き、公会計化を求めていきます。

 以上のように、新宿区では他区でみられるような学校給食費無償化にともなう給食の質の低下、や教職員の労務コストの増大といった課題は現時点では発生していないことがわかりました。単に給食費無償化で家計の負担が減ってよかったとするのではなく、渡辺やすしは物価高騰に対応した給食費一食あたりの単価改定が行われているか、教職員の労務負担の軽減につながっているかなど、無償化が新宿区の子どもたちのより良い発達に寄与するよう、監視監督を続けていきます。

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