こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。
令和6年度予算案に、新宿区議4人を友好都市・ドイツミッテ区に派遣する予算が計上されていました。これは新宿区とドイツミッテ区の友好都市締結20周年を記念して、議員を派遣する、というものですが、費用対効果が不明であるとして、渡辺やすしは反対の立場を表明してきました。
私は、令和6年度予算案に反対しましたが、予算案は賛成多数で可決しました。しかし、この議員派遣については、予算案が通ったとしても、地方自治法第100条第13項および新宿区議会会議規則第120条の規定に基づき、新宿区議会での議決を必要とします。
この件に関する議決は、本日12日の新宿区議会本会議で行われます。この議題については、首長与党から首長野党まで、渡辺やすし以外のすべての議員から反対の声をあがっていません。しかし、渡辺やすしは、①平成8年から続いてきた新宿区の議員の海外視察自粛の伝統を崩すべきではない、②ドイツ・ミッテ区の慰安婦像設置問題に言及しない交流事業に疑問がある、という2つの理由から反対します。したがって、38人いる新宿区議会議員の中で、ただ一人、反対討論を、本日、午後5時くらいより行う予定です。
以下、反対討論の原稿を公開します。ぜひ、インターネット中継をご覧いただけますと幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現役世代に優しい新宿の渡辺やすしです。只今議題となっています「海外友好都市ドイツ・ベルリン市ミッテ区への議員派遣」について、反対の立場から討論いたします。
新宿区議会議員の海外視察は平成9年に、バブル崩壊の余波で新宿区の財政が大幅に悪化したことなどを受け、中止しています。コロナ禍を経て、都道府県議会や基礎自治体の議会でも海外視察が復活していますが、高額のコストに見合う成果が上がっているのかなどについては、住民や識者から厳しい目線が向けられているという現実をまず、認識すべきです。
確かに、今回のミッテ区訪問は、海外視察ではなく、ミッテ区・新宿区の友好を目的とした今年限りのものです。ですが、その目的に対して、議長に加え、今回議題となっている区議会議員3人をあわせて約700万の税金をかけて派遣するという手段が本当に適切かどうかを、立ち止まって判断しなくてはいけません。
ミッテ区と友好都市になった翌年の平成3年と平成4年には複数名の新宿区議会議員がミッテ区を訪問しています。しかし、平成9年に新宿区議会としての海外視察が中止になって以降は、新宿区からの議員の派遣はありません。
新宿区の友好都市は海外ではミッテ区の他に、ギリシャ・レフカダ市、中国・北京市東城区があります。レフカダ市については議会としては令和4年の議長訪問のみで、北京市東城区についても、平成7年に区議会議員11人が訪問して以降は、平成16年と平成23年に区長が訪問しているだけで、議会としての派遣はありません。
つまり、平成9年に海外視察が中止になってからは、議長を除いた区議会議員が、友好や交流のため、海外に公費で訪れたという例は、仮に今回のような友好都市締結の節目の年であったとしても、ありません。もちろん、それにより、海外友好都市との関係が悪化したということも聞きません。今回、議長以外に3人の区議会議員が海外に派遣されるのは平成9年以降初めてとなります。確かに、新宿区の財政は平成9年に比較すると大きく好転していますが、議員の海外視察の優先順位が低いと判断し、視察を自粛してきた伝統は尊重されるべきです。
今回のドイツ・ミッテ区への議員派遣が新宿区議会を代表しての表敬訪問であれば、令和4年のレフカダ市など訪問同様、議会を代表する議長一人の派遣に留め、約500万円の税金を節約するべきであると考えます。
また、派遣目的についても疑問があります。令和2年には、ミッテ区の区有地に慰安婦像が設置され、吉住区長からは「特定国を対象として戦争犯罪を表す像が第三国の公有地 に設置される運動には、違和感を持っています」という書簡がミッテ区長あてに送付されました。吉住区長と同様の問題意識を抱く新宿区民も多いと考えます。ミッテ区長からは撤去に前向きな書簡が新宿区長のもとに送られてきましたが、ミッテ区議会では同年、慰安婦像撤去撤回の決議案が採択されています。
今回の派遣目的は、「ミッテ区長表敬訪問」、「議員交流」、「青少年交流事業視察」とされていますが、新宿区とミッテ区の懸案事項である、慰安婦像設置問題について新宿区としての意見を表明する機会ついて記載されていないのは残念です。真の友好は、臭いものに蓋をするのではなく、互いに思いを率直に議論することからのみ生まれると考えます。
以上で、私の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。