こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。

6月27日、外国産の鶏肉を国産と偽って学校給食の食材向けに納品したとして、新宿区の食品購入販売会社「並木商店」の社長が、正競争防止法違反容疑で逮捕したと発表されました。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20250627-OYT1T50082

新聞報道によると、新宿区の食品購入販売会社は、府中市の学校給食用に納品していた鶏肉を、外国産であるのに国内産であると産地偽装をすることで、利益を上げようとしていたとされています。

報道を受けて、新宿区が調査したところ、新宿区の小学校９校、中学校２校、区立保育園・子ども園２園、私立保育園・子ども園5園、民間学童クラブ事業1所、子どもショートステイ事業１所、の学校給食および保育園食で、並木商店との取引があったことが確認されました。

7月4日付で、該当の学校に通う保護者に対して、学校長名で、今回の事件の顛末、並木商店を当面取引停止にし、別事業者から給食食材の納品を行うこと、現段階では健康被害がないこと、そして、新宿区において産地偽装があったのかどうかは現段階では判明してないことが文章で説明されました。同様の説明は、私が所属する文教子ども家庭委員会でも7月9日に行われました。

新宿区の保育園食および学校給食では、国産見積もりでの発注となっているので、仮に新宿区でも産地偽装が行われていたとしたら税金が不正に使われたことになってしまいますし、取引があった学校の保護者にとっても健康被害がなかったとしても自分の子どもが食べていた食材が産地偽装されていたのかどうかは大きな関心事であると思います。このような問題意識に基づき、渡辺やすしは文教子ども家庭委員会で、即座に新宿区として産地偽装があったかを調査すべきと質疑しました。

しかし、、新宿区教育委員会学校運営課長からは「（産地偽装を行い逮捕された）会社とは信頼関係があり、同社は新宿区からの問い合わせに対し、『新宿区では産地偽装はしていない』と答えているので、調査はしません」という信じられない答弁がありました。

私が渦中の府中市教育部学務保健課に取材したところ、府中市では昨年11月に産地偽装に関する匿名に告発が寄せられたことを受け、食中毒などが発生したときに原因を究明するために冷凍保存していた給食食材を遺伝子検査し、国産ではなく外国産であることを突き止め、警察に情報提供し、今回の逮捕につながったとのことでした。今回の事件と関係なく、通常、どのような学校給食も食中毒発生時の原因究明のため提供から2週間程度は冷凍保存しています。新宿区でも例外でないことは確認しました。つまり、7月9日段階では、新聞で逮捕が発表される前の日付に、並木商店から納品された学校給食が冷凍保存されているわけです。こちらを遺伝子検査すれば、産地偽装が行われたかどうかはすぐに判明します。

もちろん、同じ会社が他自治体で産地偽装を行ったとしても、同様に新宿区で産地偽装が行われたということにはなりません。ですが、検査を行うことで、産地偽装が行われたかどうかが客観的に明らかになることは、①税金の不正利用を許さない、②保護者や児童の食の安全に寄与する、という2点を鑑みると調査をすること自体には大きな意義もありますし、府中市がすぐに調査したことからわかるように莫大な費用が掛かるということもありません。仮に、新宿区では並木商店がいうように、産地偽装が行われていなかったことが証明されれば、それはそれで、多くの保護者の安心感にもつながります。

にもかかわらず、社長が逮捕された会社の言い分をそのまま信じ、調査すらしないというのは明らかに行政の怠慢です。さらに、委員会では「警察の捜査の行方を見守り、捜査が進展すれば適切に対応する」という答弁もありましたが、並木商店から納品され冷凍保存されている食材には保存期限があります。仮に、捜査の結果、新宿区でも産地偽装が疑われたとしても、その段階で冷凍保存された食材が廃棄されていたとしたら、真相を究明することはできません。

渡辺やすしは、今回の事件を受けて、即座に新宿区独自で遺伝子検査を行い、新宿区の学校給食で産地偽装はあったのか、なかったのを、区民に対して公表することを強く求めます。