議会活動

敬老会&ことぶき祝い金などの新宿区の敬老事業は見直すべき!他区に比べても税金を使いすぎ!!

こんにちは。

新宿区議会議員の渡辺やすしです。

敬老の日の付近では、新宿区だけでなく全国のさまざま自治体で、敬老事業が行われます。

 新宿区では芸能人を呼んで敬老会として歌謡ショーを行うほか、ことぶき祝い金として70歳以上の節目を迎えた高齢者の方に5000円から3万円の現金を贈呈します。規模の差はあるものの、23区では同様の事業が行われています。

 

 

 私も新宿区議会議員として、今年行われた敬老会に参加しました。敬老会そのものは、職員や委託業者の方の努力によって行われていることは理解しました。ですが、限りある税金の使い道としてこれらの敬老事業を考えた場合、やはり選挙公約で訴えたとおり、受益者が高齢者に偏っていること、高齢者自身も望んでいないこと、高齢者への社会保障と違って政策目的が不明なことを理由として、廃止すべきであるとという考えは変われらず、先日提出した予算要望書でも来年度からの廃止を要望しました。

 https://watanabe-yasushi.tokyo/archives/460

 https://watanabe-yasushi.tokyo/archives/926

 本日は、もう少し様々データをもとに、廃止すべきであるという理由をわかりやすくご説明します。

 人が生涯にわたり、政府や自治体に対してどれだけの負担をなし、どれだけの受益を得るのかを財政的に評価する「世代会計」の推計をみると、2001年の内閣府の調査では1939年以前生まれ世代が生涯を通して5700万円の受益超過であり、70年から79年生まれ世代が1300万円の負担超過[1]となっています。2006年の吉田浩教授による推計モデルでは、世代間不均衡率は 1709.1% であり、将来世代は現在世代の18 倍以上の生涯純負担を負うことが予想されています[2]

 この世代間の不均衡については、現役世代の多くが疑問の声をあげ、多くの現役世代の疑問の声をあげ、国会でも、現役世代が支払う高すぎる社会保険料の見直しなどが議論されています。新宿区においても、納税者でもある現役世代が納得感を抱くために、税金の使い道についても世代会計の格差を是正するとともに、高齢世代に対する住民サービスに対しても地方自治法第2条第14項が規定する「最小経費で最大の効果」があるかを適切に検証していく必要があると考えます。

 具体的には、3億5千万円の税金が投入されている、敬老祝い金、敬老会、ふれあい入浴を私は特に見直しべきであると主張しています。ふれあい入浴については、以前、議会で区長に質問したので(https://watanabe-yasushi.tokyo/archives/781)今回は、、敬老祝い金、敬老会について解説します。

【敬老祝い金について】

 新宿区では、70歳、77歳、88歳、96歳から99歳の節目を迎えた区民に対して、5千円から3万円を支給する「ことぶき祝い金」に8317万3千円の予算が、100歳以上の方に毎年3万円を支給する「高齢者訪問」に935万6千円の予算が計上されています。

 この2つは社会保障ではなく、敬老事業として位置づけられています。長寿に限らず、人生には七五三、入学、卒業、就職、成人、結婚などさまざまな節目があります。確かに、新宿区は入学祝い金としても、小学生1年生に5万円、中学1年生に10万円ずつを支給しています。しかし、入学祝い金は入学時に新たに必要となるランドセルや学用品の費用を補助する子育て支援策の側面がありますが、古希や卒寿を迎えて新たに生活に必要な費用が発生することは考えられず、長寿の節目において新宿区として「祝い金」をおくる合理的理由は不明です。

 中央区議会議員のほづみゆうき氏は、23区の敬老事業の比較表を公開されています。https://docs.google.com/spreadsheets/d/1rNHRuH8ELAHy8B_0U3_MdXc-QDSiMc_SNXc-Iqwo3dk/edit#gid=1934836952

 この表をみると23区でも同様の敬老祝い金はありますが、70歳の古希の節目で金品を送っているのは、新宿区、港区なことがわかります。多くの自治体が少子高齢化による今後の財政難を理由として、敬老祝い金を見直す中、平均寿命が男女とも80歳を超える現在、70歳の節目で現金を支給することは、とりわけ理解が得られないと考えます。

 また、この施策については高齢者の方も望んでいない可能性があるという視点も重要です。例えば、平成26年に静岡市が実施した市民意識調査(https://www.city.shizuoka.lg.jp/000689224.pdf)では、「敬老事業の個人に対する贈呈を縮小し、市全体への高齢者施策への充実を検討すること」に対し、市民全体で約73.5%が、70歳以上に限定しても71.2%が「賛成」「どちらかといえば賛成」であると回答しています。新宿区でも事業継続の前提として、市民意識調査を行うことが必要です。

【敬老会について】

 敬老会は2075万8千円の税金を使って、77歳以上の新宿区民の方を演芸などの催しに招待する事業です。芸能人を呼ぶなどのイベント運営を委託する費用に予算の多くが使われていますが、政策効果は不明です。全国の自治体でも多くの敬老会が開催されていますが、芸能人を呼ぶ自治体はごく少数です。先述のほづみ氏の調査によると、芸能人を呼んでいるのは、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区、港区のみです。  

 また、令和5年は3日間午前午後の6回開催され、山本譲二氏や香西かおり氏の歌謡ショーが開催されましたが、会場の新宿文化センターのキャパシティ1802人に対し、一回当たりの平均来場者は約540人。コロナ対策のため、開催日が2日から3日に拡大したという背景があるにせよ、コロナ禍前に行われた令和元年の敬老会でも平均来場者は約1000人。まずは予約システムを充実させ会場が満席になるように調整することで開催数を減らし、予算を縮小させることが重要です。こちらについても、そもそも娯楽が多様化し、さまざまな娯楽にアクセスできる新宿区に暮らす高齢者の方が、本当に2000万円以上の税金を使って敬老会を開催することを望んでるのかの意識調査が必要であると考えます。

  11月29日より新宿区議会第4回定例会が開催されます。渡辺やすしは11月30日の午前中に一般質問に登壇しますが、その際は、この「敬老祝い金・敬老会の見直し」についても、区長に糺します。インターネット中継もされているので、ぜひ、ご覧ください!


[1] 内閣府(2001)「平成13年度年次経済財政報告」

[2] 吉田浩(2006)「世代会計による高齢化と世代間不均衡に関する研究(改訂版)‐2000 年基準による世代会計推計結果‐」高山憲之編『少子化の経済分析』東洋経済新報社 P166-189

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