議会活動

新宿区議会議員・渡辺やすしの初の一般質問の「成果」は⁉【初の一般質問の振り返り・後編】

 こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。

 渡辺やすしの初めての議会である第二回定例会は終わりました。6月13日(火)の新宿区議会第二回定例会で、区長に対して、渡辺やすしは新宿区議会議員としての初めて行った一般質問の「成果」についてご報告します。

 先日公開した前編では、そもそも一般質問の狙いと目的を明かしました。

 渡辺やすしの一般質問では2つの質問を行いました。一問目の2億円の予算をかけて60歳以上の高齢者に年間48回の銭湯代を無料にする「ふれあい入浴」の見直しについての質問では、「区政の問題の存在を発見し、区長答弁によって、より問題の背景をあぶりだす」ことを目的とする「監視・問題追及型」を志向し、二問目の「路上喫煙率調査」見直しについての質問は、「質問によって政策が動き出す」ことを目的とする「政策提言型」を意識しました。

質問原稿は事前に公開していましたので、区長からの答弁とあわせて、「成果」を探っていきましょう。なお、一般質問の模様はネットのアーカイブでも見れるので、こちらもよろしければご覧ください。

 https://smart.discussvision.net/smart/tenant/shinjuku/WebView/rd/speaker_minutes.html?speaker_id=61&search_index=99

 (1)2億円の予算をかけて60歳以上の高齢者に年間48回の銭湯代を無料にする「ふれあい入浴」の見直しについて

 まずは、私の質問と区長からの答弁を記載します。区長答弁ものちほど、正式な議事録がネット上にUPされますが、現在ではまだされていないので(議会終了後1か月くらいかかる)、私がネット中継を見て、書き起こしたものであることにご留意ください。

 最初は、「ふれあい入浴」が政策効果があがっていない、検証できていない、という問題についての私の質問です。(原稿の構成上の都合で、質問順番を一部前後させています)

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 Q1.「ふれあい入浴」は60歳以上の方のほか、身体障碍者手帳をお持ちの方や、児童育成手当を受給している方に対し、「新宿区ふれあい入浴証」を交付し、年間最大48回の銭湯代金を無料にする制度で、2億3621万8千円の予算が計上されています。令和4年度では30120枚の入浴証のうち、28138枚が60歳以上の方に交付されていて、高齢者の方の健康増進・交流ふれあいが主目的であると考えています。  

 ですが、この2億円以上の予算が高齢者の方の健康増進に本当につながっているのか、という効果検証が大事です。令和4年の決算特別委員会での地域包括ケア推進課長の答弁では早坂信哉教授の研究をエビデンスとして挙げられています。確かに、この研究では週2回4週間の銭湯通いで足腰腹部の筋肉の機能やバランス機能の改善が認められています。しかし、その理由としては銭湯利用のための外出歩行や、多くの人が当然に銭湯で行うことが考えづらい、浴槽内での運動が身体能力改善の要因とされていて、銭湯入浴と健康増進の直接の因果関係を証明しているとは言えません。

 そこで、質問です。「ふれあい入浴」は高齢者の方の健康増進という目的に対して、地方自治法第2条第14項が規定する「最小経費で最大の効果」をあげていたとお考えですか?「ふれあい入浴」の政策効果を測定していくために、銭湯での入浴と健康増進効果の因果律を検証する科学的な調査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか?

A1.高齢者の健康増進と交流については、「ふれあい入浴」だけで解決する話ではなく、高齢者の交流施設や敬老会など高齢者の外出を後押しする仕組みの一つとしてとらえていく必要があります。その中で、年間3万120人の方が延べ45万回程度この制度を利用されており、費用対効果は高いと考えます。ご指摘のように、先行する研究はありますが、「ふれあい入浴」だけで、高齢者の健康増進や交流の効果を図ることは難しいことから、改めて調査を行うことは考えていません。

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 ここでは、私と区長の「政策評価」に対する考え方の違いが明確化されています。「ふれあい入浴」の政策目的が、高齢者の方の健康増進とされている以上、その健康増進効果をきちんと測定しなくてはいけないというのが私の考えです。一方で、区長の考える効果は「年間3万120人の方が延べ45万回程度この制度を利用」という風呂の入浴回数であるのに、対し、私はそれでは不十分で「健康増進」そのものの効果が実証されないようであれば、政策としては「最小経費で最大の効果をあげていない」と考え見直すべきであると考えてあります。無料の銭湯券を配れば、銭湯の利用者が増えるのは当たり前です。銭湯振興策であれば銭湯の利用者がふえただけでOKかもしれませんが、健康政策と考えた場合、健康効果こそが問われるべきです。政策はアウトプット(出力結果)ではなく、アウトカム(出力をもとにした成果)で判断されなければなりません。「高齢者の交流施設や敬老会など高齢者の外出を後押しする仕組みの一つ」ととらえるのであれば、その仕組み自体が「最小経費で最大の効果」をあげているのをしっかりと検証されなければなりません。

 次に、私は「ふれあい入浴」の受益者に世代間で格差があることを問題視しました。

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Q2  人が生涯にわたり、政府や自治体に対してどれだけの負担をなし、どれだけの受益を得るのかを財政的に評価する「世代会計」の推計をみると、2001年の内閣府の調査では1939年以前生まれ世代が生涯を通して5700万円の受益超過であり、70年から79年生まれ世代が1300万円の負担超過[1]となっています。2006年の吉田浩教授による推計モデルでは、世代間不均衡率は 1709.1% であり、将来世代は現在世代の18 倍以上の生涯純負担を負うことが予想されています。新宿区においても、納税者でもある現役世代が納得感を抱くために、税金の使い道についても世代会計の格差を是正していかなくてはいけません。「ふれあい入浴」の受益者に世代間で格差があることも問題です。株式会社プラネットによる銭湯スパに関する意識調査によると、銭湯を月一回以上利用する層を世代別に見ると、20代・30代の男性が最も多いことが判明しています。銭湯ブームにより、所得が相対的に低い若い世代に銭湯愛好者が増える中、高齢者の方のみに所得制限をつけず銭湯代金を無料にすることは、世代会計の格差につながります。さらに、「ふれあい入浴」を銭湯振興策と考えた場合も、生涯に渡り銭湯愛好者となる可能性がある若い世代を呼び込むほうが、効果は高いと考えます。

 そこで、質問です。日本全体として税金の負担と受益に関する世代会計における格差が拡大しているという認識をお持ちですか?その上で、新宿区でも税金の使い道に関し、世代会計による格差を是正する必要を感じていらっしゃいますか?世代間格差を是正するため「ふれあい入浴」を見直し、全世代を対象とする銭湯振興策へと転換するお考えはありますか?

A2  世代会計は国税等も含めた、あらゆる負担と給付の議論をするもので、国が社会保障政策を検討する際に用いていた手法の一つです。このため、地方自治体である区の財政分析の中で、特別区税をはじめとした一般財源の使い道などに、そのままあてはめめて考えるのは難しいと考えます。

 また「ふれあい入浴」の対象を全世代に拡大することは考えていません。一方、「公衆浴場地域活性化モデル事業」により、新宿浴場組合が実施する銭湯活性化のためのイベントに助成をおこなっています。昨年度は銭湯でNFTラリーを実施し、幅広い年代の方にご利用していただきました。

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 議事録を検索してみると、今まで区長が「世代会計による負担と受益の格差」について言及したことはありませんでした。今回の議論を通して、区長の公式見解として、「世代会計による格差」の是正は考えていないということが確認できました。私とは意見が異なりますが、これは我ながら意義がある質問だったと思います。区長が世代会計の是正を意思していないということは、「現役世代に税金の使い道を変えていく」とテーマにそった働きかけを私がしないと、高齢者偏重の新宿区の税金の使い道はそのままになってしまう、ということが明らかになったからです。

 また、全世代向け銭湯振興策はすでに行っているということですが、令和5年の予算を確認するとそれに対しては地域振興費の中で公衆浴場への運営費助成として1596万円が計上されているにすぎず、2億円以上の予算を使う高齢者層に受益者を限定する「ふれあい入浴」とのアンバランスへの回答としては不十分であると私は考えます。

 (2)路上喫煙対策のための、路上喫煙率調査の見直しについて

 こちらは政策提言型質問なので、いきなり、予算がかかる新たな政策の実行を主張しても、なかなかすぐにやります、という答弁は期待できないので、新たな路上喫煙対策の前提として「区が政策の前提にしているよりも路上喫煙は酷い状況にある」こと確認して、さらなる路上喫煙政策をするために、「正しく酷い路上喫煙率を把握できるための調査をする」という言質をとることが、今回の一般質問のゴールでした。この質問は選挙のときに掲げたのものではなく、当選後、住民の方からの西新宿の路上喫煙がひどいという住民相談をもとに、作ったものです。

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Q1 新宿区では路上喫煙調査を2005年から開始し、2018年から現行の調査方法に改められました。駅周辺調査地点40か所、生活道路調査地点30か所で、午後2時から3時までの間に通行者と路上喫煙者の数をカウントし、同じ調査地点を続けることで、路上喫煙率の推移を把握し、路上喫煙対策の効果検証のツールとして活用されてきました。最新の調査によると、駅周辺は0.08%、生活道路が0.27%の喫煙率で、それぞれ目標とされている0.1%、0.5%を下回っています。

 しかし、この路上喫煙調査では把握できない暗数が多くあるのではないでしょうか。

 具体的に、2か所、1時間における喫煙者と通行者の数を私がカウントしました。昨年4月19日にAbemaTVで路上喫煙多発地帯として報道された西新宿の都庁通り近く、KDDIビル近くの路地では正午から1時にかけ52人中4人(7.9%)の路上喫煙を確認しました。また、未成年の一斉補導で多数喫煙が確認されている歌舞伎町シネシティ広場前では、深夜1時から2時にかけて、458人中30人(6.5%)の路上喫煙を確認しました。

 ここで質問です。昼休み帯の西新宿KDDIビル横の路地、深夜帯の歌舞伎町シネシティ広場前で、路上喫煙が多数発生していることを認知されていますか?またこの2か所以外にも、路上喫煙率生活道路調査地点に指定されていない路上喫煙多発地域を認知されていますか?

A1 区では、区民からの相談などにより、ご指摘の2か所など、路上喫煙率調査地点に指定していない路上喫煙が多発している地域について把握しています。

Q2 

この2地点は代表的な例にすぎず、さらに多くの、現行の路上喫煙調査では把握できない路上喫煙数が新宿区には多く潜んでいると推察されます。

 路上喫煙対策を「最小経費で最大の効果」で実施するためには、路上喫煙率調査は必要不可欠です。しかし、路上喫煙数を誤って把握すると、正しい路上喫煙対策を行うことはできません。従来の路上喫煙率の調査方法を見直すべきであると考えます。

 ここで質問です。路上喫煙調査に際しては、従来の定量的な定点観測に加え、路上喫煙禁止パトロールや、区民への定性的な聞き取り調査をもとに、隠れた路上喫煙多発地域・時間帯を断続的に見つけ、新たな路上喫煙調査地点に加えるお考えはありますか?

A2 現時点での調査地点数の追加は予定していませんが、苦情が多いなどの理由により、新たに途上喫煙が多い地域を把握した際は、特別調査地点に入れるなどの効果的な調査方法について検討を進めていきます。

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こちらは、少しでも提案を受け入れてもらうことをゴールにしたので、独自調査による具体的な事実、調査方法の改善という予算がかからないものを提案する、すでに予算がついて実行されている政策と矛盾してしまう提案をしない、の3点を心がけて質問しました。

 その結果、「区では、区民からの相談などにより、ご指摘の2か所など、路上喫煙率調査地点に指定していない路上喫煙が多発している地域について把握しています。」「新たに途上喫煙が多い地域を把握した際は、特別調査地点に入れるなどの効果的な調査方法について検討を進めていきます」、という「ふれあい入浴」とは異なる、質問に対して前向きな答弁を引き出すことができました。

 以上が、今回の一般質問における、渡辺やすしの「成果」です。これからも追求型・政策提言型を一つずつ組み合わせて質問し、「高齢者偏重政治をやめて、税金の使い道を現役世代に」という公約に基づき区政の転換を迫る質問は「追及型」、身近な住民相談に基づき少し生活を便利にする質問は「低策提言型」として区議会議員に課せられた2つの役割を果たしていこうとおもいます。

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