こんにちは。
新宿区議会議員の渡辺やすしです。
現在、新宿区議会令和6年第3回定例会が開催中です。先日、行った一般質問の成果については、追ってご報告します。
さて、9月24日㊋からは決算特別委員会が開催されます。新宿区議会では決算特別委員会は定員38人から議長&副議長を除いた半数の18人ずつが隔年で参加するので、4年の任期で2回、決算特別委員会のメンバーになることになります。私は昨年度は、参加していないので、今年の決算特別委員会は渡辺やすし、および、私の一人会派「現役世代に優しい新宿」にとって、初めての決算特別委員会となります。
9月25日㊌午後3時40分からは決算全体の諸問題について区長に糺す総括質疑で、9月26日から10月3日までは、決算の用途ごとに新宿区幹部職員と議論する質疑が続きます。新宿区議会は23区の中でも決算を重視する優れた方針があります。開催期間9日、うち区長出席9日は、23区中2番目の長さ。総括質疑は会派人数に応じた制限時間がありますが、各決算項目の質疑については、会派人数に関係なく事前通告なし&時間無制限のガチンコ勝負。ぜひ、ネット中継をご覧ください。
この記事では、決算特別委員会の総括質疑を前に、私の新宿区令和5年度決算をどのようにとらえているかを解説します。
生涯にわたる税金や社会保障における受益と負担を比較した場合、現役世代が先行する世代に比べ、大幅な不利益を被っているというエビデンスに基づいた新宿区民の怒りの声によって、渡辺やすしは令和5年の新宿区議会議員選挙に初当選し、会派「現役世代に優しい新宿」が誕生しました。そのため、税は限られた財源であるという前提のもと、効果的でない税金の支出をやめることで税負担額を下げ、さらに、今後の少子高齢化社会を納税によって支える現役世代に、彼ら真に必要とする施策で応え受益の質を上げていく、という「現役世代に優しい」税金の使い道を新宿区に対して求めていくものです。
ただ、誤解していただきたくないのは、現役世代とは、今現在を生きる世代に限らないということです。人は誰でも老いるので、現役世代もいつかは高齢者となり、新たに生まれた子どもたちが現役世代・納税世代となり社会を支えることになります。
ですから、現在の現役世代、将来の現役世代が、等しく納得がいく受益と負担のバランスを打ち立てなくてはいけません。そのため、財源的な裏付けがなく、将来世代まで持続可能でない税金の使い方に対しては、仮に現在世代の受益額が増すことになったとしても、わが会派としては許容することはできません。
令和5年度決算を見る限り、現在の新宿区の税金の使い道は「現役世代に優しくない」ものだと評価します。歳入面では、特別区税や特別区交付金などの 一般財源が増となったものの、実質単年度収支がマイナス64.3億円となり、 11年ぶりの赤字。また、6年度末の基金残高は、4年度末から217億円減の、474億円となる見込みです。そもそも新宿区の歳入構造は海外景気の下振れなどによる減収リスクや金融資本市場の変動等、 景気の動向に大きく左右されやすい構造にあります。
さらに、現在の新宿区は年々、税収を担う生産年齢人口が増加を続けるという全国でも珍しい幸運に恵まれていますが、新宿区自治総合研究所の新宿区将来人口推計によると、新宿区でも2045年以降生産年齢人口が減少に転じ、高齢人口が増加することが予想されており、近い将来、現在の多くの自治体同様に、少子高齢化による社会保障費の増大や税収の減少が発生することは不可避です。そのため、本年度同様の歳出を続けていけば、やがて基金も底をつき、将来世代に対し、現在世代同様の住民サービスを提供することは不可能です。将来世代にも上質な住民サービスを提供するためには、基金残高を回復することで、財政対応力を回復させなくてはいけない考えます。
そしてそのためには、地方自治法2条14項が定めるように、全ての事務事業が、「最小経費で最大の効果」をあげているのかを検証した上で、令和7年度予算編成に臨むべきです。この点、9月2日に副区長より各局長に出された依命通達(https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/kikaku01_300202_4322122_00124.html)で、「限られた財源を選択と集中により配分すること」「安易な前例踏襲に陥ることなく事務事業の抜本的な見直しを図ること」とされていることについて、渡辺やすしは全面的に賛成しています。
「安易な前例踏襲に陥ることなく事務事業の抜本的な見直しを図ること」が単なる号令に終わってはいけません。令和6年度新宿区予算案では、私が約30億円の税金の無駄遣いを発見し、予算編成に先立つ区長への予算要望書で是正を求めたにも関わらず、事務事業の廃止・見直しはわずか3000万にとどまり、持続可能ではない放漫財政を批判し、予算案に反対することとなりました。
決算特別委員会は、令和7年度予算編成にむけて「安易な前例踏襲に陥ることなく事務事業の抜本的な見直しを図る」場とならなくてはいけません。
新宿区政は二元代表制のもと、それぞれ異なる選挙で選ばれた区長と我々議員によって運営されています。この決算特別委員会いる18人の区議全員が、政党会派に関わらず、区長や区政を監視監督するに足る能力があると有権者から期待され、その責務を託された存在です。
ですから、決算特別委員会では、単に予算が適切に執行されているか確認するだけでなく、知見や経験に加え、様々な地域の方々の声を踏まえ、執行された予算が政策目的に対し「最小経費で最大の効果」をあげているのかを審議しなくてはいけません。 確かに、高度経済成長により右肩あがりに税収が増え、予算を増やせる時代、決算審議は軽視されたこともあったと仄聞しています。しかし少子高齢化が進み、本年度の新宿区のように、前例踏襲に陥ることない抜本的な事務事業の見直しが待ったなしの自治体においては、議員の知見を結集してムダを洗い出す決算審議は非常に重要なものとなっていると考えます。
幸い新宿区議会は、伝統的に決算審議を大切にしてきました。江戸川区議会事務局の調べによると、決算特別委員会の日数が23区平均7.26日うち、区長の出席は6.21日に留まるなか、新宿区議会の開催日数9日、区長出席9日で、23区中2位。これは、新宿区が決算審議を重視する姿勢の現れだと考えています。
以上のような問題意識に基づき、渡辺やすしは私は独自調査で見つけ出した政策効果が薄い50億円の税金の無駄遣いについて、約2週間にわたる決算特別委員会で、追及します。何をもって、税金の無駄遣いとしているのかは、決算特別委員会のその項目ごとに審議が行われる日に、決算特別委員会資料要求に基づき請求した行政文章を公開しながら、それぞれ明かしていきます。過去の新宿区議会の歴史上、誰も追求していない税金の無駄遣いも多数ありますので、ぜひお楽しみに!