基本政策

23.5億円の不要な予算の見直しを!渡辺やすしの「令和6年度新宿区予算要望書」を公開します!

 こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。

 新宿区議会に限らず、どこの地方議会でも、この時期、会派ごとに予算要望書を首長に対して提出する時期です。それも踏まえた上で首長は予算を編成し、自らの要望が通ったかどうかを各会派はチェックして首長の予算案への賛否を決めます。ですが、他自治体でもなぜかその要望書を区民に公開する会派はほとんどありません。

 会派ごとに区長に提出した予算要望書を区民に公開しないと、その会派が何を基準に首長が編成した予算案に賛成したのか、反対したのかを、区民は知ることができません。議員間討議にもつながるので、新宿区議会の各会派も公開すべきだと思うし、私の会派「現役世代に優しい新宿」は今から公開します。

 「現役世代に優しい新宿」の予算要望書は、「あれやって」「これやって」という要望を羅列した要望書ではなく、まず、令和5年度予算から不要であったり優先順位が低いと考える23.5億の予算の見直しを要望し、それを財源とする範囲に限定して、新たな施策を要望するという構造になっています。ぜひ皆様のご意見をお聞かせいただけますと幸甚です。

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令和6年度 新宿区予算要望書

「令和5年度から約23.5億円の不要な予算を見直し、現役世代に還元を!」

                              現役世代に優しい新宿 渡辺やすし

【予算全体に対する考え方】

 人が生涯にわたり、政府や自治体に対してどれだけの負担をなし、どれだけの受益を得るのかを財政的に評価する「世代会計」の推計をみると、2001年の内閣府の調査では1939年以前生まれ世代が生涯を通して5700万円の受益超過であり、70年から79年生まれ世代が1300万円の負担超過[1]となっています。2006年の吉田浩教授による推計モデルでは、世代間不均衡率は 1709.1% であり、将来世代は現在世代の18 倍以上の生涯純負担を負うことが予想されています[2]

 新宿区の税金の使い道においても、納税者でもある現役世代が納得感を抱くために、世代会計の格差を是正すべきであると考えます。具体的には、高齢世代に対する住民サービスに対しても地方自治法第2条第14項が規定する「最小経費で最大の効果」があるかを適切に検証していくとともに、少子化対策として所得を問わない広範囲な子育て支援をさらに拡充していくことが必要です。

 そのため、令和6年度新宿区の予算におきましては、(1)政策効果が検証できず、受益者が一部の高齢者に偏り、世代会計の格差拡大につながる施策を令和5年度ベースで約23.5億円見直し、その金額を財源とし、(2)他自治体で効果をあげている子育て支援政策の導入、を要望いたします。

【令和6年度予算において見直すべき、令和5年度の事務事業】

<総務費>

広報誌の発行及び配布(95,401千円)

※記載している金額はすべて令和5年度予算のもの。

年間36回10,9000部を発行し、そのうち、75000部が全国紙朝刊への折り込み配布。NHK文化研究所による2020年度国民生活調査[3]によると、一日に15分以上新聞を読む年齢層の割合は、高齢者が顕著に高い。具体的には「平日・男性」で限定して場合、70歳以上が64.5%、60歳以上が48.8%に対して、40代8%、30代6%、20代2.4%となっています。

全年齢の新宿区民に等しく広報するという広報誌の特性上、配布先方法として高齢者に偏った新聞への全国折り込み配布は見直すべきと考えます。全世代が等しく購読可能な電子配布の充実に向けた配布方法の変更し、発行・配布予算を削減すべきです。

<地域振興費>

中強羅保養所(201,357千円)

区民健康村(303,102千円)

この2つの保養所は、新宿区公共施設等総合管理計画では、「将来的に区有施設は廃止」、「大規模な改修や建替えの時期に合わせ、民間に移行」を明記されています。区民健康村(グリーンヒル八ヶ岳)は開設28年目、中強羅保養所(つつじ荘)は開設48年目で、まもなく大規模な改修時期を迎えます。同保養所の利用者は高齢者の方に偏りがあり、またリピーターも多く、高齢者の中でも一部の方々に受益者が偏る中、区民の娯楽に対する志向が多様化していることを踏まえても、税金を使って区が保養所を運用する公益性は低いと考えます。即時に、売却などにより民間に完全移行することで、合わせて毎年約5億円の「赤字」が出ている現状を解決すべきです。

<文化観光産業費>

地域商業活性化推進事業(1,144,386千円)

プレミアム付商品券発行事業では、還元額9億円に対し、運営コスト2億1千万円となり、全体予算の約20%が運営コストとして計上。運営コストの中では、紙の商品券12万冊への印刷代金が一番多くなっています。渋谷区のPayPay還元事業のように、キャッシュレス還元に一本化し、運営コストを削減すべきです。

<福祉費>

敬老会(20,758千円)

ことぶき祝い金支給(83,173千円)

マッサージサービス(12,786千円)

ふれあい入浴(236,218千円)

 マッサージサービスとふれあい入浴は、高齢者と増進・交流ふれあいのための事業とされていますが、マッサージやふれあい入浴が高齢者の健康増進につながるという科学的なエビデンスはありません。また、芸能人を呼び6回にわたって開催される敬老会は、約800万円の予算をかけて1回のみの開催である「はたちの集い」と比べても、高額と言えます。敬老祝い金は平均寿命以下の70歳(古希)で受給できるのは23区の中で、港区と新宿区だけと他区に比べても、支給金額が大きいです。

 受益者が高齢者に偏り、政策効果の測定が困難な、この4つの事業に年間3億円以上を毎年投入することは、納税者の理解を得られないと考えます。即時に見直しを求めます。

<こども家庭費>

誕生祝い品の支給(26,152千円)

伊那市や沼田市にゆかりのあるおもちゃや絵本ガイドブックのみを支給することは、各家庭の自由な選択の幅を狭めます。「誕生祝い金」としての一律現金支給への転換を求めます。

<教育費>

区外学習施設の管理運営(女神湖高原学園)及び一般利用(152,186千円)

学校利用施設としての機能は重要であると考えますが、前述の区民健康村、中強羅保養所同様、一般利用の保養所を区が毎年赤字を出して運営する必要性はありません。学校利用施設に限定して規模を縮小することで、赤字金額の縮小を求めます。

<議会費>

費用弁償(11,405千円)

政務活動費(67,950千円)

公共交通機関が発達した新宿区で、新宿区議会議員が費用弁償として給与とは別に日当2500円を受け取ることは納税者の感覚とは乖離しています。また、政務活動費は政治活動用のビラなどにも利用可能で、事実上の選挙費用として使うことができ、選挙において現職議員に有利な状態を生み出しています。私は政務活動費を年間180万円のうち、1円を受け取りませんが、費用弁償、政務活動費とあわせて即時廃止を求めます。

以上、令和5年度の予算より合計2,354,874千円分の見直しを求めます。

【令和6年度予算において新たに行うべき子育て支援事業】

日本全体の人口が減っていくなか、自治体に税金を納め、経済を活性化させてくれる働く世代・子育て世代は、各自治体で「奪い合い」になることが予想されます。少子化の中でも、新宿区が輝き続けるためには、子育て世代・働く世代を近隣の自治体から呼び込んで、新宿区の税収を安定させていかなければなりません。そして、まず新宿区が健全な子育て政策の「競争」により近隣自治体に勝つことで、他自治体も子育て施策を充実させ、日本全体の子育て施策の底上げにつながることも期待できます。以上の点から以下、要望いたします。

<出産費用無償化に向けた新宿独自の出産費用助成>

東京都の平均出産費用は約56・5万円で国から全国一律で支給される出産一時金は50万円。新宿区は出産時の現金支給がゼロなので、平均して約6.5万円が自己負担となります。高齢出産や無痛出産などでさらに費用がかかると、さらに多くの金額を自己負担しなくてはいませんし、妊娠時の定期健診も健康保険が使えず、多くの費用が発生します。そこで、所得制限なしで一律7万円の新宿区独自の現金給付を出産時に行い、出産費用を無償化することを要望します。

多くの夫婦は結婚や、出産のタイミングで、住居の大きさを広くするため、引っ越しを検討します。現在、区独自の支出で、出産費用を無償化しているのは、近隣ではお隣の港区だけです。ここに新宿区が加わることで、出産費用が無償化され、子育て世代に優しい施策を行う新宿区に、近隣の自治体から多くの住民が新たに引っ越し、新宿区の現役世代の人数が増し、新宿区の税収のUP、経済の活性化につながり、新宿区にすべての世代の方が恩恵を受けることになります。

<学校給食費の完全無償化>

「給食費無償化条例」などで繰り返し要請していた、小中学校の学校給食費の所得制限、公立私立の別をなくして、フリースクールなども対象に令和6年度から実施されることが区長より表明されています。確実な実施を重ねて要請します。特に、公立私立を問わないことは23区でもほとんどなく先進的な取り組みであると評価します。新宿区の給食費無償化に対する先進的な取り組みが全国に広がることは、進歩的な多くの新宿区民が望んでいることであると考えます。

<区内保育施設のおむつサブスクの無償化>

 保育園に児童を通わせる保護者の負担を軽減するために、「手ぶら登園」が実施にむけてさまざまな施策がおこなわれるべきです。新宿区では令和5年より区立保育園ではおむつとおしりふきのサブスクが実施されました。おむつは使用量も多く、サブスク実現前は名前の記入などが相当な労力となっていました。サブスク導入後は園によって50%から80%が利用する制度として評価しますが、現在は有償です。一ヶ月のうちに風邪や感染症で数日欠席してしまうと、逆に割高になってしまうという課題もあります。千代田区では、令和5年11月より、おむつサブスクの導入と同時に無償化を行いました。おむつやおしりふきは子供の生活必需品であるにも関わらず、物価高による高騰で値上げされています。物価高騰対策としても、おむつ・おしりふきののサブスクの無償化を要望します。

<区内保育施設のシーツ・タオルケットクリーニングのサブスクとその無償化>

 保育園に児童を通わせる保護者の中で、保育園で使用するシーツやタオルケットの洗濯が大きな負担となっています。ある区立保育園の場合、毎週金曜日には、布団用シーツ、敷布団用タオルシーツ、オネショ対策の防水シーツ、掛ふとん(夏はタオルケット、冬は園の毛布を借りるため毛布用シーツ)を自宅に持ち帰り、月曜日までに洗濯することが義務付けられています。同じ保育園に子どもを二人通わせる場合、洗濯量も倍となり、登下校時は大量の洗濯物を保護者が持参し、かつ子どもの手も引かなければならない、という安全上、大変危険な状態になっています。さらに、休息または子供との時間に使いたいはずの週末に洗濯物を義務付けられていることは精神的な負担にもつながります。

 そこで、おむつ同様、保護者が持ち帰りを義務付けられているシーツ・タオルケット類のクリーニングのサブスクの導入とその無償化を要望します。私の調査によるとこの施策は全国にも例がなく、もし、実施されれば、新宿区から全国の子育て支援策をリードする成果となります。

<小さく生まれた赤ちゃんのための「リトルベビーハンドブック」の導入>

赤ちゃんとお母さんの健康状態を把握する母子健康手帳は、早産児とその家族にとってはみるのが辛くなる部分が多いと指摘されています。例えば、成長曲線は1㎏からしか表記がないため、800グラムなどで生まれた乳幼児の保護者は寂しさを感じてしまいます。

リトルベビーハンドブックは小さく生まれた赤ちゃんとご家族のためのサブブックで、呼吸器をはずした日やはじめてだっこした日、管が抜けた日などを記入できるようになっています。静岡県で初めて導入され、23区でも中野区で導入されています。新宿区でも導入を要望します。

<若者のための民間家賃補助の復活>

 新宿区では4年前まで、「民家家賃補助」として、新たに引っ越してきた18歳から28歳の単身者に対して、年間最大12万円の家賃補助を3年間行う施策を実行していました。しかし4年前にこの施策は中断しています。この施策の即時復活を要望します。

 新宿区はさまざまな他の自治体出身の若者を受け入れて発展してきた多様性溢れる街です。ですが、新宿区は他も自治体に比べ家賃が高いです。そのため、新宿区に職場があったり、新宿という街が好きなのに、新宿区への引っ越しを断念して、お隣の中野区などに暮らすことを決断したという若者の声をたくさん聴いてきました。

 そういった新宿区への引っ越しを断念している若者を、年間12万円の家賃補助を復活させて、新宿区に呼び込まなくてはいけません。それは若者本人が幸福につながることがもちろん、若い世代を新宿という街に親しめば、将来的に新宿で結婚し、新宿で子育てをする人口が増加することが見込め、新宿区全体の税収の増加や経済の活性化に直結します。

 日本全体が少子化で、労働人口がどんどん現象していく中、新宿区が輝き続けるためには、働く世代や子育て世代をどんどん呼び込み、税収を確保し、経済を活性化していかなければいけません。これから子育てをする、社会でどんどん活躍していく若者をまず、新宿区に呼び込むことで、税金を上げずに将来的な税収を確保することは当事者の若者だけでなく、現在新宿区で暮らす高齢者の方や子どもたちにとっても大きなメリットがあると考えます。

                       以上、ご検討よろしくお願いします。


[1] 内閣府(2001)「平成13年度年次経済財政報告」

[2] 吉田浩(2006)「世代会計による高齢化と世代間不均衡に関する研究(改訂版)‐2000 年基準による世代会計推計結果‐」高山憲之編『少子化の経済分析』東洋経済新報社 P166-189

[3] https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-jikan/

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