こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。令和7年第4回定例会の成果を随時ご報告します。
本会議での代表質問では、渡辺やすしは、「新宿区の民間活力に宿泊税がもたらす弊害について」区長を糺しました。区長からは現段階での新宿区独自の宿泊税は検討しない、という前向きな答弁を引き出しました!
渡辺やすし「現在、インバウンド旅行者の増加による交通機関や道路の混雑、ゴミ処理や騒音対策などにより増加する行政需要のための財源として、自治体において条例に基づき独自に課税する宿泊税を導入する動きが相次いでいます。11月26日現在、全国で15自治体が導入し、今後、島根県松江市、宮城県、広島県などが新たに導入される予定です。東京都は全国に先駆けて、法定外目的税として平成14年より宿泊税を課税し、令和7年度は69億円の税収を見込んでいて、宿泊税導入自治体の中でもトップの税収となっています。新宿区議会においても、令和7年の第二回定例会では、他会派の代表質問で新宿区独自での宿泊税課税が提案されました。しかし、宿泊税には2つの点で大きな弊害が存在します。
一つは公平性です。例えば、多くの旅行者で賑わう大久保通りでは、ホテルや旅館だけでなく、飲食店や土産物店などさまざまな業種がその恩恵を受けています。旅行者の増加は幅広く様々な事業者に経済効果をもたらしているにも関わらず、宿泊事業者のみ宿泊税が課税されることは、「取れるところから取る」構造にほかならず、不公平です。
二つ目は民間活力を奪うという点です。宿泊税は宿泊料金に上乗せされますから、旅行者にとっては実質的な値上げとなります。宿泊税を課税しない自治体に比べ高額な宿泊料金となることは、宿泊客の訪問控えや滞在期間の短縮につながり、課税対象者である宿泊事業者の利益が減少する可能性があります。また、旅行者が旅行先で使うお金は有限ですから、宿泊税として支払うお金は、本来、飲食や買い物などで消費する予定だったお金でもあります。宿泊税の分だけ消費金額は減少するので、新宿区のさまざまな事業者に経済的損益を与えることになります。
会派「現役世代に優しい新宿・減税の会」はすべての増税に反対します。その上のこの宿泊税課税が持つ弊害についてどのようにお考えですか?また、今後、新宿区独自で宿泊税を課税することは控えるべきだと思いますが、見解をお聞かせください」
吉住健一新宿区長「新宿区の民間活力を奪う宿泊税の弊害についてのお尋ねです。はじめに、宿泊税がもたらす弊害についてです。コロナ禍以降、観光客が多く訪れる自治体などを中心に全国的に宿泊税を導入する例が増えています。 宿泊税を導入するにあたっては、区民、税を負担する宿泊施設の宿泊者、税を徴収する宿泊施設の事業者など、多くの関係者の皆様から、税率や徴収方法、税収の使途などについて理解と納得が得られるよう、丁寧に議論を重ね、検討を進めていく必要があると認識しています。ご指摘の税の公平性や民間活力への影響が弊害となるか否かについては、宿泊税導入の検討過程において、関係者間で検証を行い、結論を導き出すものと考えています。
次に、区独自で宿泊税を課税することについてです。現時点において、区は独自の宿泊税導入の検討を行っていませんが、引き続き、他自治体での検討・導入状況などを注視し、情報収集に努めてまいります。」
渡辺やすし「宿泊税は民間活力にマイナスの効果をもたらしますが、多くの自治体が導入に踏み切ったのは、宿泊税による歳入増加というプラス効果がそのマイナス効果を上回ると考えたからでしょう。その点、特別区長会において「令和8年度東京都の施策及び予算に関する要望書」では、「小規模旅館業や、住宅宿泊事業法に基づく届出施設も宿泊税の課税対象に加えること」と東京都の宿泊税の課税対象者を拡大することを要望されたことには疑問が残ります。現状の、東京都の宿泊税は新宿区の税収とはなりません。この要望が実現した場合、新宿区の歳入増加というプラス効果が見込めず、課税対象の拡大により新宿区の民間活力を奪うというマイナス効果だけをもたらすと考えますが、特別区長会会長として、新宿区長が要望した理由をお聞かせください」
吉住健一新宿区長「次に、特別区長会において東京都の宿泊税の課税対象を拡大することを要望した理由についてのお尋ねです。ご指摘のように、宿泊税の課税対象に民泊を加えても、区の税収増にはなりませんが、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光振興を図る施策に要する費用に充てるための財源である都の宿泊税収が増えることで、ナイトタイム観光の推進など旅行者を魅了する施策のほか、オーバーツーリズム対策を含む旅行者への意識啓発や環境整備など、観光振興施策の充実により、来街者の増加や区民の生活環境の改善が期待され、来街者・区民・事業者にとって大きなメリットがあると認識しています。
そのため、近年急増する民泊の宿泊者についても、宿泊税の対象として、旅館・ホテルの宿泊者と同様に、観光振興施策に係る費用の負担を求めていくことが望ましいと考え、要望を行ったものです。」
東京都の宿泊税増税による観光振興策の充実が、それによって失われる民間活力を上回るとは思えず、後半の答弁には疑問が残りますが、区議会では宿泊税の新宿区独自の課税を求める会派もいる中で、「現段階では区独自の宿泊税課税は行わない」という答弁を引き出したことは大きな前進です。
議会質問はたいてい「新たにこれやってください」と議員が首長に要望するものがほとんど。今回の私の質問は、今やっていない「新宿区独自宿泊税」を、今後「検討しないように」と釘をさす異色質問でしたが、「減税の会」を掲げる、我が会派がやるべき質問だったという自負があります。
旅行客から取る宿泊税は、有権者たる区民の懐は痛まず選挙受けが悪くないので、地方議会では導入が進んでるいる現状があります。「現役世代に優しい新宿・減税の会」は新宿区議会で唯一の減税会派として、今後も、民間活力を奪うすべての増税への反対を主張していきます!










