こんにちは。
新宿区議会議員の渡辺やすしです。
昨日、3月12日に、10日間におよぶ、新宿区議会予算特別委員会が閉幕しました。渡辺やすしの提案を受けて、区政が動いた議題もいくつもありましたし、こちらはまたご報告しますが、本日は大枠のことろを報告します。
新宿区議会の予算特別委員会では、①一般会計、②国民健康保険特別会計、③介護保険特別会計、④後期高齢者医療特別会計の、4会計を審査しましたが、渡辺やすしは、①には賛成したものの、②、③、④にはさらなる歳出削減と「保険料二重払い」の解消が必要だと考え、区長提出の予算案に反対し、単独で予算修正案を提出しました。一人会派での、予算修正案の提出は新宿区議会の歴史上初です。
以下、その理由を解説します。
令和7年度予算審議においては、納税を担う現役世代が受益と負担の関係において公平感を抱けるのか、今はまだ生まれていない将来世代が現在と同じ行政サービスを受けられるようにするため持続可能な財政運営であるのか、の2点を中心に質疑をいました。これは令和7年度予算編成の前提となる令和5年度決算審査、令和7年度予算要望でも一貫したものです。
令和7年度一般会計当初予算案においては、コロナ対策としての役割を終えたとして廃止を求めた「経営力支援強化事業」をはじめ多くの事務事業の見直しや、令和5年度決算で執行率95%不用額200万以下の事務事業の経費削減を行う決算不用額精査により、33億円の歳出削減をされたことに一定の評価をします。
また、予算特別委員会の質疑において、私が政策目的に対し非効率な税金の使い方であると従前より見直しを求めてきた事業に対しても、令和7年度当初予算案においては、区と私の見解の相違が一定程度、近づいたことが確認されました。
具体的に3点あります。中強羅保養所や区民健康村の運営においては平成16年以降、初めて区外利用者の宿泊金額を条例上限まで上げられその効果検証をすることになりました。政策目的と効果の関係が明確ではないと主張していたプレミアム付き商品券事業は、商店街ハッピー商品券事業へと生まれ変わり、政策目的を物価高騰対策に比べ、商店街支援により重点があると設定し、予算規模を削減し、商店街支援についての効果検証が予定されています。健康増進との因果関係が不明であると主張してきたふれあい入浴事業は、1人当たりのふれあい入浴証の発行枚数を増加させずスポーツセンターの利用という健康増進との因果律が証明されている用途を使用できるように事業内容を大幅に変更され、レバレッジ強化事業として効果検証が行われます。
私の予算要望書では62億円の歳出削減を求めており、まだまだ開きはありますが、歳出改革への新宿区の姿勢をある程度評価し、「一般会計予算案」については、賛成しました。
しかし、区長提案の特別会計3会計予算案は、到底、現役世代、将来世代が納得できるものではありません。国民健康保険特別会計には「その他繰入金」として8億513万円、介護保険特別会計では「その他繰入金」国民健康保険特別会計には「その他繰入金」として8億513万円、介護保険特別会計では「その他繰入金」として11億8034万円、後期高齢者医療特別会計では「高齢者医療支援事業繰入金」、「事務費繰入金」、「保険料軽減措置繰入金」あわせて7億139万8千円が、一般会計からの法定外繰入金となっていることは問題です。保険とは加入者が受益者であり、負担者でもある、「共助」が原則です。高騰する社会保険料に苦しめられている新宿区の納税者にとって、自分が受益者ではない保険に自分たちが納めた税金が使われることは、「保険料の二重払い」にあたり、公正な税負担とは言えません。
また、令和7年度当初予算は、前例のない歳出改革が実行されたことは評価するものの、それでもなお財政調整基金から48億円を取り崩す、いわば、入っていくお金より、使うお金のほうが多い「赤字予算」となりました。このペースの予算規模が続けば、令和6年度末で203億円の財政調整基金は、わずか4年で底を尽きます。将来世代にも現在同様の公的支援を担保するためには、一刻も早い歳出削減により、健在な区財政を確立しなくてはいけません。しかし、令和5年度では対象者の0.07%しか利用していない保養施設に本年度も国民健康保険特別会計や、後期高齢者医療特別会計に予算が計上されるなど、非効率な税金の使い道が前例踏襲により放置されています。
さらに、当初予算では、一般会計において、執行率が95%未満、不用額200万以上の事業について、執行率に応じて削減率を設定し経費削減を行う「決算不用額等精査」が行われました。しかし、特別会計には決算不用額等精査が行われず、令和5年度決算で低い執行率に留まっているにも関わらず、令和5年度予算よりも多額の予算案が計上されている事務事業が当初予算案には散見されます。特別会計に決算不用額精査を行わなかったことは、歳出削減を後退させ、さらに「保険料二重払い」となっている新宿区民の不公平感を拡大するものです。
そこで、私は特別会計3会計へ決算不用額精査をかけ約6700万円の歳出削減をはかる予算修正案を提出しました。歳出削減により財政の健全化に寄与しますし、特別会計への歳出減にともない一般会計からの繰り出し金も減少するため、「保険料二重払い」による不公平感も軽減されます。
修正案の審査では、議員の皆さまから多数ご意見をいただきましたが、歳出削減による将来世代のための健全な区財政への寄与、保険料二重払いの解消による現役世代の不公平感の解消という2点からは、原案より、私の修正案のほうがより効果的であるという考えは揺るがず、私が提出した修正案に賛成し、原案に反対しました。
残念ながら、予算特別委員会では原案可決で、私の予算修正案は否決されましたが、引き続き、本会議でも訴えていきます。また、本会議でどのような採決結果になろうとも、この予算特別委員会の質疑が、予算の執行や来年度予算案の編成に行かされているかを、二元代表制の一翼を担う議員として、残りの任期2年間しっかりと監視していきます。
