こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。
昨日、2月19日より新宿区議会令和7年第一回定例会が開催されました。
区長より所信表明が行われ、区政の今後の方針について、総括的に明かされました。全文がホームページで公開されています。https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000418446.pdf

今回の第一回定例会のポイントは、なんといっても、2月27日から3月12日まで開催され、新宿区の約2000億円の税金の使い道を決める、予算審査です。新宿区議は、任期中隔年で、予算特別委員会・決算特別委員会のメンバーととなりますが、渡辺やすしは今年の予算委員会のメンバーなので、2月27日から質疑に臨みます。
予算特別委員会に先立っては、議会での一般質問、代表質問も行われます。私は、2月26日(水)の午後1時15分から登場予定です。インターネット中継もありますし、恒例の「渡辺やすしの一般質問見学ツアー」開催します。ツアー参加ご希望の方は公式LINEかXのDMまでご連絡お願いします。

今回の一般質問では「生物多様性保全のために、森林に対して新宿区が果たすべき役割について」、
「 再び、保育施設でのシーツ等の持ち帰りが保護者の過大な負担になっている現状について」を区長に糺します。今回は、「生物多様性保全のために、森林に対して新宿区が果たすべき役割について」解説します。
今までの一般質問で、渡辺やすしは、公約どおり、高齢者偏重政治による税金の無駄使い改革&子育て支援、を2年間主張し続けましたが、今回は初めて環境分野の質問をします。カーボンオフセットなどの環境政策は、神宮外苑再開発みたいな注目トピックでない限り本当に票にならないのが現状です。ただ、「現役世代に優しい新宿」という以上、次世代の現役世代に持続可能な環境を維持するというのも大切だと考え、今回は環境対策について質問することとしました。
少し、専門的な論点かもしれませんが、わかりやすく解説します。
令和7年度新宿区当初予算案では、6182万5千円を投入し、伊那市と沼田市の「新宿の森」について、新たに約3haの植林を行い、CO2の年間吸収量を令和7年度には380 t-co2まで吸収量を拡大するとされています。平成21年から新宿区では、区内排出のCO2量の一部を相殺するカーボン・オフセット事業のため、伊那市、沼田市、あきる野市に、「新宿の森」を開設し、森林の保全や適切な管理を支援してきました。
今回の拡充は、新宿区のCO2排出量実質ゼロを2050年までに目指す令和3年の「新宿区ゼロカーボンシティ表明」や、2030年度において区内のCO2排出量を平成25年度比で46%削減する中期目標を定めた、令和5年の「新宿区第三次環境基本計画改定」を具体化するものであると考えます。
確かに、平成30年に公表されたIPCCの特別報告書では「気温上昇を2度より低い、1.5度に抑えるためには、2050年までにCO2の実質排出量をゼロにすることが必要」とされ、令和2年10月の内閣総理大臣の所信表明でも「2050年温室効果ガス実質排出ゼロ」が宣言されるなど、気候変動対策が日本のみならず国際的な課題となっているため、今回の「新宿の森」を拡大する施策については、気候変動対策としては一定の評価をします。
しかし、持続可能な地球環境のために、森林が果たす役割には、CO2吸収による気候変動対策だけでなく、生物多様性の保全という側面があることも、重要です。
令和4年の生物多様性条約第 15 回締約国会議では「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030 年までに「生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せるための緊急の行動をとる」という目標が掲げられ、わが国でも「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」が本年4月1日より施行されるなど、生物多様性の保全も、日本のみならず国際的な課題となっています。
森林は日本の国土の約7割を占め、生物相が豊かな日本では陸域では最大の生物種の宝庫です。林野庁の令和6年の「生物多様性保全に資する森林管理のあり方に関する検討会」の中間とりまとめでも示されているように、生物多様性の保全に一層配慮した森林管理を実践することで、多様な動植物の生育・生息空間として森林の質を現状より高める林業経営が求められています。
このような問題意識のもと、まず、最初に、「新宿区としては、森林管理の支援や、森林資源を使用するさまざまな施策において、「生物多様性の保全」を配慮する必要性を認識されていますか?」と問います。
新宿区によって森林保全が支援されている「新宿の森」では、CO2吸収量は各都道府県の森林CO2吸収評価認証制度により確認されています。しかし、「新宿の森」の生物多様性の保全については、現状、第三者により確認されていないことは問題です。そもそも、各自治体が森林法に基づき作成する森林整備計画では、生物多様性に特化した項目はありません。また、森林整備計画には生物多様性の保全につながる指針は示されていますが、第三者からの評価を必要としません。森林の持続可能性の評価としては、FSC認証、PEFC認証、という第三者機関による世界的な森林認証があり、生物多様性の保全もその審査基準となっています。
そこで、「区民から集めた森林環境譲与税の一部を使い運営される「新宿の森」において、生物多様性の保全に配慮するため、FSC認証やPEFC認証の森林認証を取得されるつもりはありませんか?」と区長に聞きます。
新宿区の区有施設は老朽化に伴う大規模改修や建て替えの時期を迎えているものも多く、特に本庁舎については、「庁舎のあり方庁内検討会」で老朽化が進む現庁舎の課題が整理され、議会でも建て替えを含めて検討が進められています。区有施設の大規模改修や建て替えにおいては、型枠や建物の内装について大量の森林資源が使用されます。
確かに、新宿区第三次環境基本計画改定では、区有施設の新築や建て替えにおいては建物のエネルギー使用量の約50%以上を削減している建物であることを第三者が証明するZEB Ready相当を目指すとされています。しかし、ZEB Ready認証は省エネルギーによるCO2削減策としては有効ですが、使用される森林資源が生物多様性の保全に寄与するかどうかの視点はありません。
浜松子ども館や南三陸町役場など多くの公共施設の建築で取得された、生態系の機能を守る森林資源であることを証明するFSCプロジェクト認証を、ZEB Ready認証とあわせて取得すれば、CO2削減に加え、生物多様性の保全にも寄与できます。また、エネルギー性能に特化せず、建築に使われる原材料をはじめ総合的な建築物の環境性能を評価する、LEEDやCASBEEなどの環境認証を取得することも、生物多様性の保全に有効です。そこで、最後に「本庁舎など区有施設の建て替え課題の整理においては、LEED、CASBEE、FSCプロジェクト認証など、生物多様性の保全に寄与する環境認証を研究し、今後の建て替え時の認証取得を検討されませんか?」と区有施設建て替え時の環境対策について、区長の認識を確認します。
新宿区議会の本会議で、森林認証や建築プロジェクトの際の環境認証に関する質問は初めてとなります。渡辺やすしが提起する環境対策について、これからもご注目ください。また、2月23日には、「第10回新宿区議会議員・渡辺やすしと飲むバー」を開催します。一般質問の内容についても解説するので、区民以外の方もお気軽にお越しください。
