こんにちは。
新宿区議会議員の渡辺やすしです。
6月13日の令和6年度新宿区議会第二回定例会の一般質問で、渡辺やすしは、吉住新宿区長の小池都知事への出馬要請の問題点について追及しました。この渡辺やすしの質疑が、6月18日発売の都政新報でも大きく報道されています。
この都政新報の記事に、区長の小池都知事への出馬要請にへの問題がまとまっていますが、議会での区長とのやりとりの詳細もご紹介します。
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渡辺やすし「新宿区には、小池知事を支持する区民もいれば、そうでない区民もいるという前提のもと、まず、最初に確認します。
今回の出馬要請においては、区民や議会への事前のアナウンスや、要請の是非を問う調査はなかったと認識していますが、区長は今回の出馬要請は、新宿区民の総意として行われたとお考えですか?もし、区民の総意ではないとお考えであるのであれば、今回の出馬要請は、吉住健一個人としての要請か、それとも新宿区長・吉住健一としての要請のどちらですか?明確にお答えください。
もちろん、区長にも政治活動の自由はあります。しかし、区長からの出馬要請への呼びかけは、新宿区民の税金も一部使われて運用されている特別区長会の総会の後という一種の公的な場で行われたということは問題であると考えます。区長はXの個人アカウントでも、『区長会としてではなく有志で考えて行動することが望ましいため、その場で答えを求めず、名簿の取りまとめを行いました』と記載されていますが、特別区長会の総会後という公の場で、会長という立場で呼びかけたということ自体が、今回の要請が『新宿区長・吉住健一』としてなされたものと、とらえざるを得ないと考えますが、いかがでしょうか?」
吉住区長「はじめに、どのような立場で出馬要請を行ったかについてです。小池都知事は、「知事と区市町村長との意見交換」の開催をはじめ、基礎自治体の課題や取組等に積極的に耳を傾けるとともに、地域課題の現地を視察するなど、現場現実を重視しながら、都政を進めていると感じています。また、これまで、待機児童解消、学校給食費無償化、018サポート等の子育て支援策のほか、防災対策、環境政策、国際競争力の強化など、都民の安全で安心な暮らしのため、様々な取組を推進し、区市町村の実情を踏まえて、必要な施策を迅速に実行していただいていると認識しています。
こうした2期8年の取組を踏まえ、小池都知事に引き続き都政を担ってもらいたいと考え、区民の総意としてではなく、都内区市町村長の有志の1人として出馬要請をいたしました。
呼びかけについては、5月16日の特別区長会総会等の会議が終了した後、出馬要請に賛同するかどうかを尋ねる文書を返信用封筒とともに、各区長へお渡ししたもので、公の場で呼びかけたものではありません」
渡辺やすし「吉住区長は、これまで3度の区長選挙に当選されましたが、現職として迎えられた2回の選挙では、現職首長としての選挙での地位利用を自制されているものであったと推察します。その一方で、日野市の大坪冬彦市長は記者会見で、首長有志の出馬要請の前に、小池知事から東京都市長会のメンバー有志対し応援要請があったと明かしています。
吉住区長のもとにも、小池知事からの同様の応援要請はありましたか?仮に区長のもとにはなかったとしても、市長会の有志に小池知事から応援要請があったこと自体が不適切だと考えます。東京の特別区市町村で実施され予算化される多くの事業で、都の補助金を活用している事実がある以上、現職知事からの何らかの要請があること自体が地位利用にあたるという認識を区長はお持ちですか?
もし、仮に、首長に対し、小池知事からの応援要請があったという事実が認定されれば、小池知事への出馬要請を撤回する意思はありますか?」
吉住区長「次に、応援要請についてです。今回の出馬要請にあたって、小池都知事やその関係者からの依頼は受けていません。市長会の有志に対する応援要請については承知しておらず、お答えする立場にありませんが、地方自治体の首長も政治活動を行う自由を有しており、その権利を濫用しない限り、政治活動を行うことは可能であると認識しています。今回の出馬要請については、先ほどお答えした2期8年の取組みも踏まえ要請したものであり、撤回する考えはありません」
渡辺やすし「この出馬要請が、新宿区民の利益を損なわないかという視点も大切です。新宿区は令和6年度一般会計歳入予算では、全体の16.7%を特別区財政調整交付金が占めています。この特別区交付金について、区長は新宿区民の利益を代表して、都区の事業実態に見合った配分となるよう規模を拡大することなどを東京都に対して求めてきたと認識しています。
今回の出馬要請に応じる形で小池知事は昨日12日に、出馬表明をしましたが、当選した場合、特別区交付金に関する都区協議についてどのような影響があるとお考えですか?区長が小池知事に出馬要請をされるのは今回が初となり、従来のように是々非々で配分割合について協議するのではなく、東京都側に譲歩せざるをえないのではないかと懸念していますが、いかがでしょうか?」
吉住区長「出馬要請に応じた小池知事が出馬し、当選した場合の特別区交付金に関する都区協議についてです。
特別区交付金に関する協議を行う都区財政調整協議においては、特別区の実態に則した財政需要を的確に算定するとともに、都区財政調整制度の諸課題の解決に向けて、特別区と都が真摯な協議を行い、具体的な改善を図るものです。特に、都区間の財源配分に関する事項については、あらかじめ、特別区長会方針を決定し、この方針に基づき、23区一丸となって協議に取り組んでいます。
そのため、ご指摘の都知事選挙の結果により、東京都側に譲歩せざるをえなくなるといったことはないと考えています。」
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特に、私がこだわった論点は、特別区交付金に関する都区協議です。新宿区の一般会計歳入予算の16.7%を特別区財政調整交付金が占めています。これは東京都から交付されているお金ですが、よく誤解されるように、都からの補助金ではありません。本来、新宿区民がおさめ、新宿区の財源であるお金が、一度都に回収され、もう一度新宿区に戻されてきてる、という性質のお金です。
特別区財政調整交付金制度について、区民の方から質問が来ましたので、以下、詳細をなるべくわかりやすく解説しました。少々ややこしい話ですので、興味がなければ読み飛ばしてください。
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自治法第282条第2項は、都は、都が賦課徴収する市町村税のうち、固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税(この3税を「調整税」といいます)の収入額と、法人事業税交付対象額及び固定資産税減収補填特別交付金の合算額(注2)(以下、「調整税等」といいます。)の一定割合を、「特別区がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように」交付することを定めています。このことは、調整税等の一定割合を特別区の「固有財源」として保障するものです。
つまり、名目上は、東京都から特別区に「交付」されているお金ですが、元をただせば、市町村税という本来特別区が使うべき一般財源です。そのため、この交付金には補助金のように、東京都が特別区に対し、用途を指定することはできません。
特別区財政調整交付金が存在する理由としては、特別区の区域は制度的にひとつの大都市地域として構成されていることが挙げられます。ですが、他の大都市には単一の基礎自治体(政令指定都市)が置かれているのに対して、特別区の区域には、複数の基礎自治体(23の特別区)が置かれています。このため、大都市地域である特別区の区域の行政の一体性を確保するための特例が設けられています。
つまり、通常市町村の役割とされている事務のうち、特別区の区域を通じて一体的に処理する必要のある事務(上下水道、消防等の事務)は、都が、広域自治体として処理することされています。そのため、本来であれば特別区の財源である区税が一度、東京都の収入となり、その後、特別区間の行政水準の均衡を図るために財政調整として再び東京都から特別区に交付されることになっているわけです。
しかしながら、特別区としては財政調整の配分割合をもっと、都から特別区に移すよう、吉住区長が会長を務める特別区長会は、なんども都に対して、要望をしています。https://www.tokyo23city-kuchokai.jp/seido/pdf/kyougi/r06_kuteian.pdf
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新宿区は東京都の下請け機関ではありません。地方自治の本旨として、新宿区民が払った税金の使い道は、第一には新宿区・新宿区民が決めるべきです。ですので、吉住区長が東京都に対し、特別区財政調整交付金の配分割合をもっと、新宿区(特別区)を増やすよう戦い続けてきたことは評価していました。
今回の答弁では、「特別区長会で一丸として交渉しているから、(吉住区長が出馬要請したからとしって)譲歩することはない」とありましたが、特別区23人の区長のうち、19人が小池知事に出馬要請しています。選挙結果いかんにかかわらず、渡辺やすしは引き続き、38人いる新宿区議の中で、唯一国政政党に所属せず当選し、国政政党所属議員と会派を組んでいない完全無所属の区議会議員として、これからも新宿区(特別区)が東京都に物を言うべきところで譲歩することがないよう、監視続けていきます。
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6月23日(日)には区議会議員・渡辺やすしと飲むバーを開催!区長の小池知事への出馬依頼へのさらなる詳しい解説などもお話するので、ぜひ、いらっしゃってください。好きな時間に来て下ってOKですが、可能ならあらかじめ到着時間を公式LINE、TwitterのDMまでお知らせください。