議会活動

令和6年度新宿区決算は2年連続の「赤字」で、「貯金」から80億円の取り崩しが判明!令和8年度の予算方針への渡辺やすしの対応は!?

こんにちは。新宿議会議員の渡辺やすしです。

9月1日、新宿区ホームページに、「令和8年度予算の見積もりについて」の依命通達が掲載されました。

https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000434090.pdf

予算編成の依命通達は、区長に代わって副区長が、各部長に対して「来年度はこういう予算を作りなさい」と通達するもので、これを読めば新宿区長が来年度どのような予算編成を考えているのかが、よくわかります。令和8年度予算の全貌は、来年の2月に当初予算書がホームページや議員に公開されますが、それよりも早く予算の方針を把握することは、議員のみならず、自分たちの税金の使い道を監視する区民にとっても重要なことです。

以下、令和8年度の「依命通達」を、渡辺やすしが解説します。

 まず、第一のポイントは、決算書の公開に先駆けて、令和6年度新宿区決算状況が明かされていることです。9月から新宿区議会決算特別委員会が開催されるにあたり、令和6年度新宿区決算書が公開され(区民にもホームページで公開される)ますが、それよりも先に大まかな状況が明らかになりました。

 具体的には、令和6年度新宿区に入ったお金と出ていくお金を集計した「実質単年度収支」は42億1721万7千円の「赤字」。これは、前年度令和5年度決算の約64億3千万円の「赤字」続き、2年連続の赤字です。入ってくるお金より、出ていくお金が多いということは、足らないお金はどうしているのでしょうか。新宿区には「財政調整基金」という貯金があります。この「貯金」から80億円を取り崩すことで補填することになりました。

財政調整基金は、入ってくるお金より、出ていくお金が少なかった年度に「貯金」して作られたものです。貯金する理由としては、大規模な災害やコロナ禍などが発生した場合に、その年に入ってくるお金だけでは行政需要に対応できないため、また、新宿区の税収は大企業の法人税が占める割合が多いので、不景気で企業の業績が悪化するととたんに、税収が下がってしまう構造になります。そのときも今と同じように必要な行政サービスをおこなえるよう、景気が良くて企業の税収がいいときに、「貯金」しているわけです。

このような構造であるため、貯金は無限に取り崩せるわけにはいきません。実際、新宿区の財政調整基金は、令和2年度末は608億円ありましたが、コロナ禍での対応などで取り崩しが続き、令和6年度末(今年の3月末)では346億円と、半分くらいに減っています。単純計算ですが、令和6年度と同じように年間80億円ペースで取り崩していくと、約5年で「貯金」は底を尽き、取り崩せる貯金はなくなるので、災害などで大きな財政出動が必要な場合に対応できないばかりか、5年後には現在と同じような行政サービスを区民に対して提供することができなくなります。

 私は、「現役世代に優しい新宿・減税の会」という会派を設立し、限られた税金の使い道をもっと現役世代に向けることを目標に政治活動していますが、それが今年だけ、私の任期の4年だけ、現役世代に給付や子育て支援や減税などの恩恵があればいい、ということではありません。なぜなら、今年度が終わっても、私の議員としての任期が終わっても、現役世代の人生はまだまだ続くからです。実質単年度収支が「赤字」ということは、結局は今年度の税金の使い道のツケを将来世代に回しているだけで、とても持続可能とは言えず、将来を生きる現役世代が現在同様の行政サービスを受けることは不可能になることを意味します。このような問題意識のもと、私は令和5年度、6年度の予算要望においては、一刻も早い税金の無駄遣いをやめる歳出改革(歳出削減)を主張し、予算特別委員会や本会議でも強く主張し続けてきました。https://watanabe-yasushi.tokyo/archives/1300

 第二のポイントとしては、区はこのような実質経常収支が赤字で、貯金を取り崩すという持続可能ではない財政の在り方について、どう捉え、予算案にどう反映しようとしているか、ということです。

幸い、区も一定の課題意識を渡辺やすしと共有しています。実質収支が11年ぶりの赤字となった昨年の令和5年度決算を前にした依命通達では、令和6年度予算を「財政基盤を確立する予算」として、財源の選択と集中、前例踏襲に陥らない事務事業の抜本的な見直しが必要とされてきました。実際、令和6年度当初予算では、私が税金の無駄使いであると即時廃止を要望したプレミアム付き商品券事業が大幅に縮小され、高齢者の銭湯代金の補助と健康寿命の因果関係が不明であると主張してきた「ふれあい入浴事業」は銭湯に特化せず、区営スポーツ施設の利用料金にも使えるようこれまでの制度を大幅に変更するなど、渡辺やすしの予算要望に対し、「前例踏襲に陥らない事務事業の抜本的な見直し」が行われ、実際に歳出が削減されました。

一方本年度の依命通達は、前年度に引き続き、2年連続「赤字」決算という状況にも関わらず、歳出削減へ危機意識が少し後退しているように私は感じました。具体的には、令和8年度の予算を「区政課題の解決に向けて進取果敢に取り組む予算」として、財源の効果的配分、徹底した事務事業の見直し経費の削減と一層の歳入確保がポイントとされています。財政課長に取材したところ、「事務事業見直しが後退したわけではない。ただ、単に削ればいいというのではなく、『進取果敢』により効率的な事業に改革するという認識です」とコメントがありましたが、「前例踏襲に陥らない事務事業の抜本的な見直し」から「徹底した事務事業の見直し経費の削減」には少し、歳出削減への思いが後退したようにも読み取れます。また、「進取果敢」という単語自体の意味が「新しいことに挑戦」なので、行政需要に対応した新事業のスタートなどある種の「攻め」の姿勢も感じ取れました。もちろん、日々発生しる行政需要に対応すること自体はなんの問題もありません。ですが、「進取果敢」ありき、新事業ありきで、非効率な税金の使い道が増す結果となっては、健全な区財政の確立は遠のくので、二元代表制の一翼を担う議員としてしっかりと令和8年度予算案を監視していく所存です。

今回の令和6年度新宿区決算の「赤字」状況、歳出改革への思いは一定程度共有されてはいるものの前年度に比べると、事務事業の見直しが後退したかのように感じられる本年度の依命通達を受けて、渡辺やすしは会派「現役世代に優しい新宿・減税の会」としての予算要望書を作成します。通常、議員が区長に対して提出する予算要望書は、自分のさまざまな支援団体からの予算要望を足し算したものだから、「あれやれ、これやれ」になりがちです。しかし、渡辺やすしは、私は支援団体ゼロで、持続可能な財政運営を望む現役世代が「お客さん」なので、「この予算は無駄だから削れ」という異色の予算要望を2年間作ってきたし、今年も作ります。提出した予算要望書は前年同様、ホームページに公開するので、ぜひ、ご覧ください。

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