議会活動

令和8年度新宿区予算要望書を大公開!「前例踏襲に陥らない徹底した歳出改革で、不要な予算を見直し、住民税均等割額減税&子育て施策の質的充実により、現役世代に還元を!」

こんにちは。

新宿区議会議員の渡辺やすしです。

 この時期は来年度予算の編成が始まっているため、さまざまな地方議員が会派ごとに、首長に対して、予算要望書を提出します。この提出は任意ですが、渡辺やすしは令和6年度、令和7年度も予算要望書を、一人会派「現役世代に優しい新宿」として、提出しました。

 本年度からわが会派は初の2人会派となり、同僚の田中ゆきえ区議と議論をし、予算要望書を作成しました。予算要望書を公開している会派は他議会でもほとんどないのですが、地方議員が掲げた公約のほとんどは予算がつかないと実現できないため、どのような要望書を提出しているのかは、多くの区民が知りるべき点だと思い、渡辺やすしは本年度も公開します。全部で約2万字と超大ボリュームですが、私の新宿区政に関する考え方がわかると思うので、ぜひ、ご覧ください。

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【予算全体に対する考え方】

令和6年度新宿区決算では、実質単年度収支が42億1721万7千円の赤字となり、令和5年度に続き、2年連続の赤字となりました。この「赤字」の穴埋めは、基金という一種の新宿区の「貯金」からの取り崩しで賄われています。しかし、令和6年度末の基金残高は577億円となり、令和4年度末に比べ114億円減。緊急時の補正予算などで機動的に活用されるべき財政調整基金も271億円と、令和4年度末から大きく減少しています。

我が会派として、このような新宿区の財政状況は、「現役世代に優しくないもの」であるという危機感を抱いています。なぜなら、今と同規模の「赤字」を続ける歳出規模は、持続可能ではないからです。仮に今後の予算編成において、令和6年度と同規模の「赤字」の穴埋めをすべて財政調整基金から行ったとすると、近い将来、底をつくことは明らかです。それ以降の財源のあてはないため、現在と同規模の歳出規模を維持することは数学的に困難です。

 さらに、現在の新宿区は年々、税収を担う生産年齢人口が増加を続けるという全国でも珍しい幸運に恵まれていますが、新宿区自治総合研究所の新宿区将来人口推計によると、新宿区でも2045年以降生産年齢人口が減少に転じ、高齢人口が増加することが予想されており、近い将来、現在の多くの自治体同様に、少子高齢化による社会保障費の増大や税収の減少が発生することは不可避です。

我々、議員や区長の任期が終わったあとも、現役世代の区民の人生は続きます。しかし、現状のままですと、5年後以降、現在と同規模の行政需要に応えた事務事業を維持することができません。一刻も早い、既存の事務事業の見直しが急務です。

 そのためには、地方自治法2条14項が定めるように、全ての事務事業が、「最小経費で最大の効果」をあげているのかを検証した上で、令和8年度予算編成に臨むべきです。

 以上のような問題意識に基づき、令和8年度新宿区の予算におきましては、以下の2点を要望します。(1)受益者が極一部の区民に偏り、政策目的に対して「最小経費で最大の効果」をあげていると言えず、世代会計の格差拡大にもつながる可能性のある施策を見直し、財政対応力を回復させること。(2)歳出改革による事務事業の見直しの一部を財源として、子育て支援の質的向上および特別区民税の減税を行い、現役世代を支援し、世代間格差の是正し、新宿区の少子化対策の一助となること。

 ご検討のほど、よろしくお願いします。

【令和8年度予算において即時廃止&一部予算を削減すべき、令和7年度の事務事業等(カッコ内は令和7年度の予算)】

【一般会計】

<議会費>

・費用弁償(11,321千円)

公共交通機関が発達した新宿区で、新宿区議会議員が費用弁償として給与とは別に日当2500円を受け取ることは納税者の感覚とは乖離しています。新宿区一般職の公務員同様、交通費は実費精算にするべきです。

<総務費>

・広報誌の発行及び配布(242,039千円)

令和5年度ベースでは広報誌の一回あたりの発行部数10,9000部のうち、75000部が5大紙へ新聞折込で配布されています。

 NHK文化研究所による2020年度国民生活調査によると、一日に15分以上新聞を読む年齢層の割合は、高齢者が顕著に高くなっています。具体的には「平日・男性」で限定して場合、70歳以上が64.5%、60歳以上が48.8%に対して、40代8%、30代6%、20代2.4%となっています。つまり、新聞を購読している世帯は圧倒的に60歳以上に偏っているのです。

 ちなみに、新宿区約35万人の人口構成は、65歳以降の人口19.3%に対し、15歳から64歳は71.8%と圧倒的に現役世代が多くなっています。つまり、人口の大半をしめる現役世代ではなく、約20%の少数派の高齢世代に向けた広報に、予算の半数が振り分けられているため、全区民に開かれた広報とは言えません。年36回発行の発行回数を削減した上で、試験的に年に4回程度全戸配布を行うことを求めます。

あわせて、SNSの中では比較的全年齢が利用しているにもかかわらず、人口比で見るとわずか3.7%の登録しかなく、23区で下から3番目と低迷している新宿区公式LINEの機能を、区民保養所やスポーツ施設の予約など各種住民サービスの申し込みができるように拡充させることで登録者数を増やし、人口比10%の登録者数を目指すことも求めます。

<地域振興費>

・特別出張所費(74,501千円)

新宿区の出張所の数は、23区の中でも特筆して多い状況にあります。数は10で、23区平均の7を上回る程度ですが、特別出張所が、①地域の総合窓口サービス、②地域コーディネーターとして地域活動のサポート、③災害時の防災拠点という役割を担っていることを考えると単純に数を比較するのではなく、区民が各出張所にアクセス可能な距離や時間によって、その数は比較されるべきです。私が23区各区の面積を出張所数で割ったデータを独自に調査したところ、新宿区は出張所一つあたりの面積は1.82平方キロメートルで、23区平均の4.38平方キロメートルを大きく下回り、1.74平方キロメートルの品川区に続いて、23区2位の過密状況にあります。さまざまな統計的データに基づいて、出張所の適切な数・規模を、ゼロベースで検討することを求めます。

また、特別出張所では住民票・印鑑証明・税証明など、各種証明書の発行を行っています。これらの証明書はコンビニでも発行でき、年々この発行件数が増加し、令和5年度はコンビニでの発行件数が、本庁舎での交付件数を上回りました。コンビニでの機械操作が苦手だったり、マイナンバーカードを所持しなかったりする区民が一定数いるため、対面での発行機能が必要なことは認めますが、新宿区に多くのコンビニが存在するという現状に鑑みると、対面での発行は本庁舎に一本化し、特別出張所での住民票・印鑑証明・税証明の窓口発行を廃止し、代わりに後述するように本庁舎に本年度より設置したコンビニ交付機械を特別出張所にも設置することで、人件費や経費を削減することも併せて求めます。

・区民保養所等受付業務(32,500千円)

・中強羅保養所管理運営などに要する経費(259,137千円)

・区民健康村管理運営などに要する経費(324,409千円)

この2つの保養所は、平成29年新宿区公共施設等総合管理計画では、「将来的に区有施設は廃止」、「大規模な改修や建替えの時期に合わせ、民間に移行」を明記されています。しかし、総合管理計画策定後も、令和3年度は中強羅区民保養所で1億2884万円、令和4年度は区民健康村で1億5945万円の大規模改修が発生していて、多くの税金が投入されています。これらの経費は令和5年度に比べても大幅に増加していますし、区民健康村は開設29年目、中強羅保養所は開設49年目で、今後もさらなる経費の増加が予想され、民間への移行を火急的速やかに行うことを要求します。具体的には、令和9年度よりスタートする新しい「新宿区公共施設等総合管理計画」では、民間移行への具体的なスケジュールや民間移行への課題の整理など踏み込んだ対応を記載できるよう、令和8年は現在の施設の在り方など調査研究を進めるべきです。

さらに、令和6年の決算特別委員会の質疑でも、令和5年度の中強羅保養所21728人の利用者の51%が区外利用、区民健康村の25323人の利用者のうち、47%が区外利用であること、建物の構造上4人部屋が多く、稼働率では80%を超えているにもかかわらず一人部屋や二人部屋の利用が多く利用率が上がらないため赤字構造にあること、などが確認され、「最小経費で最大効果」が上がっているとはいえません。民間移行を急ぐと同時に、各保養所の収支を改善して、膨大する一方の管理運営費を削減し、税金からの「保養所の赤字の穴埋め」金額を減らしていかなくてはいけません。

区民全体の年間7%しか訪れない保養所宿泊料の「割引価格」を、残りの93%の区民が負担することに納税者の理解は得られませんし、近隣の民間宿泊施設の経営を圧迫していると弊害もあると考えます。そこで、近年の物価高騰や近隣温泉施設の価格の上昇に鑑みて、宿泊費用を条例の上限まで値上げすることを求めます。

令和7年度より、平成16年の条例制定以来変更されておらず、物価高騰などの近隣の温泉旅館の宿泊料が大きく上昇する中、特筆すべき安さに留まっていた区民外の利用料金を2000円値上げし、条例上限とされたことは評価します。しかしながら平成16年以降の消費者物価指数の推移などを鑑みるに、いまだ値上げは不十分です。区民外の人々が安く保養所に泊まるお金を区民の税金から支払うことが合理的ではありません。条例を改正し、令和8年度よりさらに2000円値上げをし、収入を増加すべきです。また、物価高騰に鑑み、区民利用料金も適切な受益者負担に基づいて、2000円値上げすべきです。

<福祉費>

・敬老会(20,713千円)

 令和5年度は敬老会の予算1978万円のうち、1468万円という予算の大半は「演芸等運営委託」すなわち、芸能人を呼んでくる費用にあてられました。
 確かに、全国の自治体でも多くの敬老会が開催されていますが、芸能人を呼ぶ自治体はごく少数です。23 区の中でも芸能人を呼んでいるのは、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区、港区のみです。敬老会は77歳で喜寿を迎えた人とそれ以上の年齢の方が参加できますが、人生には七五三、結婚、出産などさまざまな節目がある中で、喜寿だけを芸能人を税金で呼んで祝うのは、世代間の受益のバランスを考えても不均衡です。

 敬老会の参加者数を見ると、6公演であわせて3255人が参加していて、1公演あたり参加者は約540人です。会場の新宿文化センター大ホールの定員は1802人ですから、会場の約3割程度しか入っていません。コロナ前の令和元年度も、参加者数は4009人ですから、やはり、参加者に対して規模が大きすぎます。

 公演数を6回に増やすことで、当然、芸能人の出演料や会場代金も増えていきます。1日2公演(定員3600人)で抑えれば、予算を大幅に減額することができます。

 さらに価値観が多様化する現在、本当に、77歳以上の高齢者も敬老会を求めているのか、という視点も忘れてはいけません。77歳以上の新宿区民の人口は令和5年度で30447人。つまり、敬老会にも申し込んだ3255人はわずか、10.6%です。コロナ前の令和元年度でも13.6%です。77歳を超えると毎年、敬老会に参加できますから、特定の人がリピートしている可能性も高く、受益者が高齢者の少数に偏っているわけです。高齢者の方の価値観も多様化し、かつ新宿区のように様々な娯楽へのアクセスが容易な都心においては、もはや芸能人を呼んだ歌謡ショーを必要としているのは77歳以上の方に限定しても少数だけと言えます。77歳以上に敬老の心を示す、という政策目的があったとしても実際の受益者はその1割ですから、政策目的に対してとても「最小経費で最大効果」があがっているとは言えません。

 以上より、第一に敬老会から「演芸等運営委託」の廃止を求めます。第二に、「演芸等運営委託」を継続するとしても、公演日数を過去の実績をもとに、1日2公演に縮小することで、経費の大幅な削減を求めます。

ことぶき祝い金支給(64,459千円)

・高齢者訪問(11,047千円)

 この2つは社会保障ではなく、敬老事業として位置づけられています。長寿に限らず、人生には七五三、入学、卒業、就職、成人、結婚などさまざまな節目があります。確かに、新宿区は入学祝い金としても、小学生1年生に5万円、中学1年生に10万円ずつを支給しています。しかし、入学祝い金は入学時に新たに必要となるランドセルや学用品の費用を補助する子育て支援策の側面がありますが、古希や卒寿を迎えて新たに生活に必要な費用が発生することは考えられず、長寿の節目において新宿区として「祝い金」をおくる合理的理由は不明です。

 また、この施策については高齢者の方も望んでいない可能性があるという視点も重要です。例えば、平成26年に静岡市が実施した市民意識調査では、「敬老事業の個人に対する贈呈を縮小し、市全体への高齢者施策への充実を検討すること」に対し、市民全体で約73.5%が、70歳以上に限定しても71.2%が「賛成」「どちらかといえば賛成」であると回答しています。

 以上より、第一に敬老祝い金の即時廃止を求めます。第二に敬老祝い金継続する場合、その前提として、区民意識調査の実施を前提として求めます。

・マッサージサービス(13,008千円)

 年間利用者数の資料によると、令和5年度はのべ3763回利用されています。統計的なデータは少ないですが、一人当たりの回数制限がないので、同じ利用者が何回も利用している事例も確認はしています。ですが、仮に一人1回しか1年間で使ってないと仮定しても、新宿区の60歳以上の人口は83960人ですから、このマッサージサービスを利用しているのは、対象年齢の人口のわずか4.48%です。あまりに受益者が限定されていますし、60歳以上の高齢者の中にもこの事業を必要としていない人が多数いることがわかります。

 また、令和6年の決算特別委員会では、「マッサージによる健康増進」という政策目的の妥当性についても議論しました。マッサージは医療行為ではありません。健康増進のためのマッサージというのであれば、マッサージと健康寿命などのエビデンスが必要不可欠だと質疑しましたが、「エビデンスはありませんが、社会通念上、マッサージと健康増進には一定のつながりが」という答弁には納得がいきません。税金を使う以上、どのような事業でも何かしらのエビデンスに基づかないと、効果検証ができないし、納税者である区民は納得しません。

 さらに、60歳以上という区切りの根拠も不明です。例えば、新宿区役所の職員の定年は65歳。多くの会社でも定年が65歳に延長され、年金を70歳になってから受け取る人の数もどんどん増えています。制度開始以来、高齢者の定義もどんどん後ろ直しになり、60歳でも働いている人が多くいる中、平日の昼間にマッサージサービスを受けられるという施策が、本当にすべての60歳以上の新宿区区民の健康増進に寄与しているとは言えないと考えます。

 以上より、第一にマッサージサービスの即時廃止を求めます。第二に継続する場合も、規模の縮小および、マッサージと健康増進の因果関係を示す科学的なエビデンスの調査を求めます。

・ふれあい入浴(270,630千円)

 2億円以上の予算が高齢者の方の健康増進に本当につながっているのか、という効果検証が大事です。令和4年の決算特別委員会での地域包括ケア推進課長の答弁では早坂信哉教授の研究をエビデンスとして挙げられています。確かに、この研究では週2回4週間の銭湯通いで足腰腹部の筋肉の機能やバランス機能の改善が認められています。しかし、その理由としては銭湯利用のための外出歩行や、多くの人が当然に銭湯で行うことが考えづらい、浴槽内での運動が身体能力改善の要因とされていて、銭湯入浴と健康増進の直接の因果関係を証明しているとは言えません。歩くことによる健康増進としては、別に、「健康ポイント事業」が、全年齢を対象に行われており、こちらに一本化するのが「最小経費で最大の効果」のある税金の使い道ではないでしょうか。福祉部と健康部の縦割り行政の弊害により、歩行による健康改善施策を二重に行うことは税金の無駄使いに他なりません。

 また、「ふれあい入浴」の受益者に世代間で格差があることも問題です。株式会社プラネットによる銭湯スパに関する意識調査によると、銭湯を月一回以上利用する層を世代別に見ると、20代・30代の男性が最も多いことが判明しています。銭湯ブームにより、所得が相対的に低い若い世代に銭湯愛好者が増える中、高齢者の方のみに所得制限をつけず銭湯代金を無料にすることは、世代会計の格差につながります。さらに、「ふれあい入浴」を銭湯振興策と考えた場合も、生涯に渡り銭湯愛好者となる可能性がある若い世代を呼び込むほうが、効果は高いと考えます。

 令和7年度からはふれあい入浴証を区有スポーツ施設でも使用できるように制度が改変されました。スポーツ施設での運動と、健康増進の因果関係については複数の研究が明らかにしていますから、この制度改善については評価します。

 以上より、第一にふれあい入浴の即時廃止と高齢者のスポーツ施設利用への事業転換、第二に事業継続するとしても予算額を大幅に削減した上で、一人当たりの入浴回数を制限し、全世代に拡大することを求めます。

<こども家庭費>

・若者のつどい(6,563千円)

 来場者アンケートによると、40歳以上が令和5年度は57.4%が、令和元年度は40%以上、平成30年度は48%を占めていて、さらに元年度も平成30年度も来場者の過半数が新宿区外からを占めている。来場理由をみても、令和5年度は31.3%がトークショー、29.9%がスターバックスカフェであり、新宿区の20代から30代の若者が新宿での地域活動などに興味を喚起するという政策目的と大きな乖離があります。これでは、予算をかけて、著名人やアイドルを呼ぶことに納税者の納得感が得られません。よって、即時廃止を求めます。

<土木費>

・民間賃貸住宅家賃助成(69,085千円)

 定住化を目的として始まった本事業ですが、平成20年から平成25年度に助成を開始した世帯では定住率は50%から60%に留まっていて、家賃補助の期限5年が過ぎると他区へ転居してしまう実態が明らかになっています。そのため、政策目的が果たされているとは言えません。

 また、制度開始当初と異なり、タワーマンションの開発などで。新宿区の人口は流入増が続き、定住率の向上は政策の優先順位として決して上位にあるものではありません。

 子育て支援策としても、年間にこの制度を受けられるのは50世帯。令和6年の0歳から14歳の年少人口が30167人ですからごく一部です。本年度決算特別委員会では、一人親世代の入居者が多く、一人親支援になっているという意見も出ましたが、それであるならば、7000万の予算を使い、学用品補助などのもっと効率的な一人親支援策に振りかえるべきです。

 さらに、平成29年度には285人だった希望者も、令和3年度には158人に大きく減少。家賃補助を受けたいと考える区民ニーズも減少しているといえます。

 以上より、即時廃止を求めます。

・特定住宅の管理運営に要する経費(768,236千円)

 特定住宅は378戸なので、一戸あたり200万以上の経費がかかっています。確かに、令和5年度は使用料として4億4937万円、共益費として2614万円の収入がありますが、結果として3億円以上の「赤字」で、一戸あたり約100万円税金からの持ち出しが発生しています。

 所得制限は子ども2人の場合1206万円と、新宿区民の平均年収534万円を上回り、令和6年度はわずか4戸しか空き戸数がなく、受益者もごく一部の区民に限定されます。たまたま抽選で当たれば、所得が高くても安価な物件に入居できるという宝くじのような制度になっていて、税金を使って行うべき「最小経費で最大の効果」があがっている事業ではありません。

 旧区民住宅を15年に限定して使用する制度ですが、着実に物件の返還を進め、可能ならは物件の返還を早めることで、事業から撤退を行い、赤字幅を減少していくことを求めます。

<教育費>

・区外学習施設の管理運営(女神湖高原学園)(138,698千円)

学校利用施設としての機能は重要であると考えますが、前述の区民健康村、中強羅保養所同様、一般利用の保養所を区が毎年赤字を出して運営する必要性はありません。学校利用施設に限定して規模を縮小することで、赤字金額の縮小を求めます。また、区民健康村および中強羅保養所同様、一般利用料金の値上げにより、赤字幅の小苦笑も求めます。区民健康村および中強羅保養所では本年度より、区外利用者、区民利用者の詳細な調査を行いました。そのほか、女神湖高原学園では、区外、区民利用者の割合が一切判明しておらず、現在の料金体系が適切はどうかを判断することができません。利用者の属性の詳細な調査も要望します。

【国民健康保険特別会計】

・執行率が低い事務事業の予算額の見直し

 本年3月の予算特別委員会資料要求によって、令和5年度特別会計決算における執行率が低迷する事務事業の存在が明らかになりました。具体的には、加入者から集める保険料ではなく、一般会計繰入金を財源し、法定受託事務ではなく、新宿区独自の判断で行う自治事務である事務事業のうち、決算不用額精査の基準である執行率が95%未満、不用額200万円以上の主なものを執行率とあわせて列挙すると、国民健康保険特別会計では事務費(37550562円、84.9%)、くらしと国保の発行(2285142円、86.6%)、非肥満のリスク保有者に対する保健指導(2031388円、70.7%)、糖尿病性腎症等重症化予防事業(2822523円、37.9%)、介護保険特別会計では一般事務費(15537147円、81.9%)、新宿区後期高齢者医療特別会計では事務費(7001508円、84.2%)、入院時負担軽減支援金(19240000円、69.6%)があります。

新宿区特別会計3会計の決算において、新宿区が目標と掲げる執行率95%を2年連続で割り込んだり、執行率が70%を切るなど著しく低かったりする一般会計繰入金を財源とする事務事業が散見されることに、「限られた財源の効率的な分配」という観点から、課題意識を抱いています。新宿区としては、「枠配分予算」の対象には一律で「決算不用額精査」をかけ、そこから漏れた対象は「一件査定」をかけるという予算査定を編成時に行ったはずですが、現実問題として、執行率が低い事務事業が特別会計の中に残されている点は改善されなくてはいけません。

令和8年度予算編成においては、決算不用額精査がかかる枠配分予算の対象とならない事務事業のうち、令和6年度決算で執行率95%、不用額200万を上回ったすべての事務事業をあらかじめ洗い出し、予算額を特段の精査を行うよう求めます。また、本要望書の回答において、該当事業において、令和7年度比で、どの程度予算額を減額したのかを明らかにすることも求めます。

 

・一般会計繰入金(その他繰入金)(805,132千円)

 健康保険は、加入者から集めた保険料の範囲で医療費を払い運用されます。協会けんぽや、会社が運用している健康保険であれば加入者が大幅に減ったり、支払う医療費の総額が増大したりすれば、保険料を値上げして、保険が運用できるようにします。つまり、加入者が受益者であり、負担者なので、加入者同士で調整するのが保険なのです。

 しかし、国民健康保険で「不能欠損」(入ってくるはずだった保険料が入ってこない)におちいった金額は、運営する自治体の税金で穴埋めしているのです。つまり、令和5年度では新宿区の国民健康保険の不能欠損額は約13億円ですから、新宿区の一般会計から穴埋めしています。

 税金から国民健康保険料を穴埋めする。これは何を意味するかというと、健康保険料は2重払いしているのと同じです。協会けんぽや会社の健康保険組合に入っている新宿区民は、税金とは別に、給料から自分の加入している健康保険の保険料は天引きされます。しかしそれに加えて、自分が加入しておらず、受益者にもなれない健康保険の保険料も、自分が納めた税金からの穴埋めという形で、負担していることになるのです。社会保険料が高騰し、さらにて給与明細からの天引きとして社会保険料が強制的に取られているのに加えて、国民の義務である健康保険料を滞納している人の分まで保険料を2重で払わなくてはいけない、というのは大問題が発生しています。

 よって、第一に、日本人世帯の滞納率が7.7%に対し27.9%と約4倍と外国人の滞納率対策を求めます。滞納対策課の活用に加え、国籍別滞納状況を公開し、それぞれの出身国の国保制度の有無など滞納理由の更なる分析と対策を求めます。第二に、国民健康保険料のさらなる見直しなどで、一般会計からの繰り出し金を減少させることを求めます。

・保養施設(1,352千円)

 JTBまたは近畿日本ツーリストが扱う宿泊施設であれば、国民健康保険の加入者は一泊3000円、2泊まで宿泊費の補助を受けることができます。保養を目的としてはしていますが、JTBまたは近畿日本ツーリストは全国のあらゆるホテルを取り扱っていますので、仕事や帰省の際のビジネスホテルの利用を申請するなど、目的外の使用ができてしまう問題点があります。

 さらに令和5年度では、加入者85162人に対し、利用者は61人にとどまり、0.07%。この制度を知っている一部の人だけが得をするという大変不平等かつ、加入者にとってのニーズがない事業となっています。

 即時廃止を求めます。

【令和8年度予算において新規開始&拡大すべき事業】

<特別区民税均等割額の減税>

 「減税」が基礎自治体レベルで、可能な選択肢です。新宿区においても、条例を改正すれば、特別区民税の、均等割と、所得割を、地方税法で定められた標準税率を下回って「減税」することはできます。平成22年度には愛知県半田市が、平成23年度には埼玉県北本市が、条例改正を行って、時限的に住民税の減税を行っています。名古屋市は、平成26年度から現在まで、一律で5%の、個人市民税の減税を実施しています。 23区では、短期間で頓挫したものの、杉並区が平成22年に減税基金条例を制定し、積み立てた基金の利子収入を活用し、減税を行う減税自治体構想を推進しました。我が会派は、減税には、さまざまな効果があると考えています。  

 税負担の軽減が、単純に、納税者の生活支援や満足度につながるだけでなく、減税分が消費に回ることによる経済活性化効果も期待できます。何より、我が会派が注目しているのは、減税により税収が増える効果です。 近隣の自治体に比較して、低い特別区民税を設定することで、納税の中核を担う、現役世代や、子育て世代の定着を促し、将来的な税収基盤の安定や、次世代となる子どもたちの増加にもつながる可能性もがあります。 実際に、継続的に市民税減税を行ってきた名古屋市では、税収の増加や、人口流入など一定の効果があったとする論文もあります。

  本年度の決算特別委員会で確認したように、令和6年度において仮に、特別区民税均等割3,000円を減税し、全員非課税にした場合の影響額は、6億2000万円です。逆進性の強い特別区民税均等割の減税を求めます。

<補助金支給団体と支給目的の公開>

 本年度、公益社団法人「日本駆け込み寺」の元事務局長で、一般社団法人青母連の共同代表を務めていた男性が、コカイン所持で逮捕されました。新宿区から日本駆け込み寺には、歌舞伎町安心安全助成、子ども未来基金、地域コミュニティ助成の事業補助で、令和4年度から6年度に渡り、累計で299万円の公金が支出されています。青母連は新宿区のホームページで法律相談を案内する相談先として掲載されていました。一部報道によると、元事務局長は日本駆け込み寺に相談に来た女性にコカインを勧めていたとされ、一個人の不祥事に留まらず、組織としての問題があった可能性もあり、公金の支出先として妥当性が問われています。該当法人へは、本年度より公金の支出が行われていないことは承知していますが、再発防止のためには、補助金のさらなる透明化が必要です。

 千代田区では補助金支出団体による不祥事を受けて、平成27年度から「団体別補助金支給実績一覧表」を決算時にホームページで公開し、すべての補助金支給団体、支給金額、支給目的、使途、補助対象経費、補助率などを明らかにしています。

新宿区では公開している決算書には補助金の項目ごとの執行率は記載されていますが、どの団体にいくら補助金を支払ったかをわかる資料は公表されず、議会、監査委員、区民が補助金の支給が適切かどうかを判断することができません。

ま た、補助金支給実績一覧表は非公表のものも存在せず、新宿区内部でも補助金の支給状況を横断的に確認する資料がないことも問題です。確かに、新宿区の一部および監査委員事務局の職員は、財務会計システムを使ってすべての公金支出伝票を閲覧することができますが、こちらには支給目的、使途などは記載されておらず、公金の使途について横断的に監視することはできません。実際、今回の不祥事を受けて、日本駆け込み寺に支出された補助金の累計を私が新宿区に問い合わせた際も、その総額が二転三転した始末です。

千代田区では、区議会の決算審査においても多くの議員が団体別補助金支給実績一覧表を活用していますし、私が千代田区財政課に取材したところ、予算の策定においても区職員がこの一覧表を活用しているとのことでした。財務会計システムとは別に補助金支給実績の一覧を作成することは、議会、監査委員、区民による公金支出監視に役立つだけでなく、新宿区職員の効率的な業務にもつながります。

千代田区では、この一覧表は決算時に各部署から報告された補助金の支給実績を財政課がとりまとめることで作成されており、一定の業務負荷がありますが、補助金の透明化という公益性の高い目的のためには、受容できる行政コストであると考えます。よって、千代田区同様、補助金の支給実績をとりまとめて公開することが求めます。

<区内保育施設の午睡用シーツ・タオルケットの無償クリーニングの実施>

 保育園に児童を通わせる保護者の中で、保育園で使用するシーツやタオルケットの洗濯が大きな負担となっています。昨年度まで、ある区立保育園の場合、毎週金曜日には、布団用シーツ、敷布団用タオルシーツ、オネショ対策の防水シーツ、掛ふとん(夏はタオルケット、冬は園の毛布を借りるため毛布用シーツ)を自宅に持ち帰り、月曜日までに洗濯することが義務付けられています。同じ保育園に子どもを二人通わせる場合、洗濯量も倍となり、登下校時は大量の洗濯物を保護者が持参し、かつ子どもの手も引かなければならない、という安全上、大変危険な状態になっていました。さらに、休息または子供との時間に使いたいはずの週末に洗濯物を義務付けられていることは精神的な負担にもつながります。

 そこで、おむつ同様、保護者が持ち帰りを義務付けられているシーツ・タオルケット類を、新宿区と契約したクリーニング業者が新たな保護者負担なしに洗濯することを求めます。令和7年度より区立保育では午睡用シーツの運用が見直され、保護者が運搬するシール類が大きく減少したことは評価します。さらに一歩、対策を進めて、クリーニング業者が洗濯することで、シーツやタオルケットを保護者が持ち帰る必要はなくなり、手ぶら登園を大きく前進させることを求めます。午睡用シーツ・タオルケットの持ち帰りの保護者負担は東京新聞で報道されるなど、社会問題となっていますが、23区ではいまだシーツ・タオルケットの無償クリーニングを実施している自治体がなく、他自治体・国に先駆けて新宿区が実施に向けて舵を切ることで、新宿区の先進性をアピールすることに繋がります。

<新宿区の各種支払いにおけるWEB口座振替の導入>

 新宿区では学童クラブの定額利用を2102人がおこなっており、そのうちの9割以上にあたる1952人が「銀行口座振替」によって、毎月の利用料金を、銀行口座から引き落とされるシステムになっています。納付書での送付に比べ、その都度、利用料金を払わなくていいし、払い忘れの心配もないので、区民・行政の両方にとってメリットがあります。

 しかし、この銀行口座振替をするためには、一度、自動払い込み依頼書と印鑑を、金融機関まで持参するという手間は発生します。令和6年の新宿区の学童クラブ定期利用者のうち、1年生777人に対し、722人が銀行口座振替で利用料金を納めています。と、いうことは722人の保護者がそのために、口座振替の紙を記入して、銀行に持参したということです。仮に2人の子どもを学童クラブに通わせる場合でも、下の子を新たに学童クラブに通わせるためには、その都度金融機関を訪れなければいけません。

 このような不合理なシステムは他区では当たり前ではありません。近隣区の、港区、渋谷区、中野区、豊島区、千代田区をはじめとして、23区中12区では、銀行を訪れなくても、自宅でセキュリティに保護された外部サイトを使って、WEB口座振替をする制度が整備されています。

 もっとも、WEB口座振替の導入には税金がかかるため、学童クラブ使用料のためだけに導入するのは効率的ではありません。特別区民税や国民健康保険料など、さまざまな区民が新宿区が税金を払う状況でも同様に、WEB口座振替ができるように一括したシステムを導入することによって、より多くの区民が受益を受けることができます。他区でも、学童クラブだけでなく、区民税や国民健康保険料の支払いにもWEB口座振替が導入されています。

 WEB口座振替の費用と収納率の向上の関係について、他区の状況を研究をさらに進めた上で、令和8年度からのWEB口座振替の導入を求めます。」

<学校給食費の完全無償継続&23区第4位の給食費単価さらなる向上>

新宿区では本年度も物価高騰に対応して、求職の喫食単価を上げ、23区中4位となり、23区平均を大きく上回ります。物価高騰に関わらず1円も給食単価をあげていない区もある中で、大幅に給食費単価を上げたことは、子育て世代の負担減少との児童の心身の発達に不可欠な給食の質の担保を両立されていると評価します。

 給食費の無償化を前提として、令和7年度レベルの給食費の質を担保するためさらなる物価高騰などに対応して適切に給食費単価を見直すことを求めるともに、「適切な栄養摂取による健康の保持増進や望ましい食習慣を養うなどの目的に加え、児童・生徒の学校生活を豊かにする大切な役割を果たす」という学校給食の役割を踏まえ、さらに引き上げ、23区でトップ給食費単価を達成することも要求します。新宿区児童の食育の向上だけでなく、「23区トップの学校給食費」というメッセージは新宿区が子育て支援に力を入れていることをアピールすることに繋がり、さらなる子育て世代の流入を見込めます。

<産後ドゥーラの拡大>

 新宿区はベビーシッター利用助成などさまざまな子育て支援策が充実しています。しかし、ベビーシッター利用助成は、対象児童2人を見る場合は2人のシッターが必要となり、なかなか予約できず、多子世帯にとって使いづらいという問題点があります。また、共働き家庭など家事支援を必要とする家庭もありますが、ベビーシッター利用助成では家事支援は行うことができません。

その点、産前産後支援(産後ドゥーラ)は、多子世帯でも一人のドゥーラが複数の児童を面倒をみることができ、多子世帯に使いやすい制度となっています。しかしながら、生後5か月までという使用期限は、練馬区の2歳まで、墨田区や品川区の1歳までと比べても短く、使い勝手が悪いという声が寄せられています。そこで、産後ドゥーラの使用期限の1歳までの拡大を求めます。

さらに現在の上限36時間(第一子のみ家庭)を品川区の60時間まで拡大すると同時に、少子化対策として効果的な多子世帯支援として、現在の上限55時間(上の子どもは3歳未満の場合)も品川区の180時間まで拡大することを要求します。

<区内保育施設のおむつサブスクの無償化>

 保育園に児童を通わせる保護者の負担を軽減するために、「手ぶら登園」が実施にむけてさまざまな施策がおこなわれるべきです。新宿区では令和5年より区立保育園ではおむつとおしりふきのサブスクが実施されました。おむつは使用量も多く、サブスク実現前は名前の記入などが相当な労力となっていました。サブスク導入後は園によって50%から80%が利用する制度として評価しますが、現在は有償です。一ヶ月のうちに風邪や感染症で数日欠席してしまうと、逆に割高になってしまうという課題もあります。千代田区では、令和5年11月より、おむつサブスクの導入と同時に無償化を行いました。おむつやおしりふきは子供の生活必需品であるにも関わらず、物価高による高騰で値上げされています。物価高騰対策としても、おむつ・おしりふきののサブスクの無償化を要望します。

<小さく生まれた赤ちゃんのための「リトルベビーハンドブック」の導入>

赤ちゃんとお母さんの健康状態を把握する母子健康手帳は、早産児とその家族にとってはみるのが辛くなる部分が多いと指摘されています。例えば、成長曲線は1㎏からしか表記がないため、800グラムなどで生まれた乳幼児の保護者は寂しさを感じてしまいます。

リトルベビーハンドブックは小さく生まれた赤ちゃんとご家族のためのサブブックで、呼吸器をはずした日やはじめてだっこした日、管が抜けた日などを記入できるようになっています。静岡県で初めて導入され、23区でも中野区で導入されています。新宿区でも導入を要望します。

<特別出張所への住民票や印鑑証明が発行できるコンビニ交付機械の設置>

住民票の交付数の変遷をみると、令和2年に前年の6万4千から約9万へと窓口交付数が跳ね上がっています。かつて、新宿区の本庁舎にはあらかじめカードを作っておけば住民票や印鑑登録を無人で交付できる「自動交付機」があり多くの人が利用していました。しかし、こちらがマイナンバーカードのよるコンビニ交付ができるようになったのに伴い廃止になり、令和2年に窓口での住民票交付が急増したという構造がありました。

 そこには、コンビニで一人での機械操作は苦手だけど、何かあれば区役所の人に聞ける状態であれば無人の交付機械を使える、という区民が相当数存在することを意味しています。  

本年度より、他区のように、コンビニ交付ができる機械を区役所の本庁舎に設置されたことは評価します。これの費用対効果の検証を進めたうえで、各特別出張所にも同様の機会を設置することを求めます。

 以上。

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