議会活動

税金で負担される選挙ポスターの金額が、相場とかけ離れて高い!公文書公開請求の結果をもとに、背景を徹底解説!

こんにちは。

新宿区議会議員の渡辺やすしです。

 突然ですが、皆さんは、選挙の際に街中に貼られている選挙ポスターのお金が税金から支払われていることをご存知ですか?そして、もし、それが相場よりもずっと高い印刷代金が業者に支払われるとしたら、納得がいきますか?

 本日2月16日よりスタートした令和6年第一回新宿区議会定例会では、新宿区民の負託を得た新宿区議会議員38名は、一般会計と特別会計をあわせて、2590億円にのぼる新宿区令和6年度予算案を審議・議決するという重責を担います。しかし、新宿区民が納めた税金の使い道を審議する立場にある区議会議員が、もし自分たちの待遇に関わる税金の使い道について妥当性がない無駄使いを看過していたとすれば、2590億円の予算案の審議についても、新宿区民からの信頼を得ることはできません。そのためには、予算審議の前提として、まず、我々、新宿区議会議員にまつわる現在の税金の使い道の妥当性について、改めて考えることが大切です。そこで今回は渡辺やすしは、「相場とかけ離れて高額な選挙ポスターの公費負担」について、2月22日(木)の本会議で選挙管理委員会に対して質問します。

 現在、新宿区議会議員選挙では、「新宿区議会議員及び新宿区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例」に基づいて、ポスター1枚あたり最大1376円が公費負担され、候補者一人あたり、最大52万1504円を申請することができます。確かに、選挙ポスターの公費負担制度には、立候補者が選挙に係る費用を抑えることで、経済力がない人にも立候補の機会を担保し、公平な選挙を実現するという目的があります。しかし、税金を使う以上、地方自治法第2条第14項が規定する「最小経費で最大の効果」が、選挙ポスターの公費負担によって、あがっているのかを検証しなくてはいけません。

 そこで、新宿区情報開条例に基づいて、令和5年新宿区議会議員選挙における選挙ポスターの公費負担に関する支出書類の公文書公開請求を行いました。

 

 立候補者60人中、規定得票数に達した54人が選挙ポスターの公費負担を申請する資格があり、そのうち50人に対し、実際にポスターの公費負担額合計2231万7230円が支払われました。ですが、支払われた内訳をみると、選挙ポスターの価格に対して、正常な競争原理が働かず、いたずらに高額な制作費となっていることがわかります。

 具体的には、50人中14人が、1枚あたり最大1376円、合計52万1504円を限度額まで申請しています。この14人は所属する政党も異なり、発注したポスター制作業者も10社に及びます。通常であればポスター制作費は、経費に業者の利益を上乗せした金額となりますが、異なる10社の経費と利益の合計がたまたま1376円で一致したということは考えられず、限度額ありきの請求がされていたことが類推できます。

 さらに、金額の分布を見ると、1枚1300円代が24人、1200円代が13人、1100円代が1人、800円代が8人、700円代が1人、300円代が1人、200円代が2人となります。同じ新宿区での当選を目的とした選挙ポスターという本来同質性が高いはずの商品に関わらず、1枚あたりの価格が1376円から200円まで7倍近く開きがあります。どのような商品であれ、価格差が7倍もあれば市場での通常の取引は成り立ちません。紙質やデザインなどにより1枚あたりの価格にある程度の開きが出ることは承知していますが、需要と供給に基づく正常な市場原理が働けば、ポスター価格は均衡価格に収束するはずで、7倍の開きがそのままになることはありません

 均衡価格からかけ離れ、高止まりしたポスター制作費用が公費負担されていることは、税金の無駄使いであるだけでなく他の問題もはらみます。平成16年岐阜県山県市議会議員選挙では、ポスター費用に公費負担対象外のハガキの印刷費用を含めて公費申請した複数の議員が詐欺容疑で書類送検されました。価格に占める利益の割合が通常よりも大きいという構造は、公費負担にまつわる不正を誘発する温床となります。

 よって、高止まりしている公費負担のポスター制作費用を、市場の均衡価格へと近づけていかなくてはいけません。確かに、新宿区議会議員選挙における選挙ポスターの公費負担額は、公職選挙法施行令の百十条の四に定められた衆議院選挙や参議院選挙における公費負担額に準じて定められています。しかし、さきほどの岐阜県山県市では、選挙ポスターの公費負担に関する不祥事を受け、独自に条例を制定し、平成18年から令和5年まで選挙ポスターの公費負担をゼロにしました。国に先んじて、自治体独自で適正な選挙ポスターの公費負担額を定めることは可能です。新宿区におきましても、ポスター印刷費の実勢価格を調査し、それに基づいて公費負担額を引き下げるべきです。

 

 さらに、ポスター制作会社の公費負担請求書類にも改善が必要です。現在はポスターの枚数確認書、枚数と単価を記載した書類を提出するだけで、公費負担を受けることができます。福岡県福津市や岐阜県岐阜市のように、公費負担額を請求する際には、ポスター制作業者に対し、撮影費やデザイン費など詳細な明細書の提出を義務付けることで、過大な業者の利益が上乗せされることを防ぎ、公費負担額を市場の均衡価格に近付けるべきです

 また、選挙ポスターの制作を依頼する候補者に適切な情報を知らせ、市場原理を働かせることも大切です。私自身、1265円という比較的高額の選挙ポスターの公費負担額を請求しましたが、初めての立候補のため選挙準備で忙しく、高額な日用品を購入するときのように、複数のポスター制作会社に見積もりを出す余裕はなく、ポスター制作会社からは「費用は税金で賄われます」と主張され、価格交渉もできませんでした。また、今回の公文書公開請求の結果をもとに、比較的高額な公費負担額を請求している複数の元候補者に取材したところ、「そもそも紹介された一社の価格しか知らず、より安価な価格でポスターが制作できるということを知らなかった」「選挙ポスターという特殊な印刷を引き受けてくれる業者を複数探し出すことが困難だった」という証言を得ました。選挙ポスターの制作費用や制作会社が広く公開されていないことが、問題の背景にあります。そこで、今回私が公文書公開請求をもとに作成した、候補者、ポスター交付負担金額、契約したポスター制作業者したリストを、選挙管理委員会が作成し、「選挙の記録」などで公開すべきです。これから選挙に立候補し、ポスターを制作しようとする候補者が参考にすることで、市場原理が働き、ポスター制作費用を均衡価格に近付けることができます。さらに、自分が契約した金額が公開されることで、候補者もいたずらに高い金額で選挙ポスターの契約するのではなく、相対的に安価な金額で契約したいというインセンティブが働くと考えます。

 以上の問題意識に基づいて、2月22日の渡辺やすしの一般質問では、選挙管理委員会について、以下の5点について見解を問います。

  • 選挙ポスターの公費負担についても、さまざまな行政サービスと同様、いたずらに税金をつかうのではなく、「最小経費で最大の効果」求めるべきだという認識をお持ちですか?
  • 令和5年度新宿区議会議員選挙において、50人中14人が満額申請していること、および、ポスター1枚あたりの同じ新宿区での当選を目的とした選挙ポスターという本来同質性が高いはずの商品に関わらず、1枚あたりの価格が1376円から200円まで7倍近く開きがあることから、公費負担額は市場の均衡価格からかけ離れていると考えますが、見解をお聞かせください。
  • 高止まりしている公費負担のポスター制作費用を、市場の均衡価格へと近づけるため、まずポスター印刷費の市場での実勢価格を調査し、公費負担額を引き下げませんか?
  • 公費負担額を請求する際には、ポスター制作業者に対し、撮影費やデザイン費など詳細な明細書の提出を義務付けるお考えはありますか?
  • 候補者、ポスター交付負担金額、契約したポスター制作業者を記載したリストを、選挙管理委員会が作成し、公開されるのはいかがでしょうか。

 公文書公開請求に基づく隠された事実を積み上げた渡辺やすしの追及に、選挙管理委員会はどのように答えるのか⁉ぜひ、傍聴、インターネット生中継でご確認ください!


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