こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。
新宿区の生活保護の不正受給が増えています。
令和7年度の生活保護法第78条に基づく徴収決定は、84件、総額1億1,390万円。令和5年度と比較すると、件数は2倍、金額も約3,340万円増加しています。
なぜ、これほど増えているのでしょうか。
不正受給そのものが増えているのか。それとも、行政の調査能力が向上し、これまで見つけられなかった不正を発見できるようになったのでしょうか。
今回の決算特別委員会では、独自に資料要求したデータをもとに、不正受給の増加要因、早期発見の仕組み、返還金の回収状況について詳しく質問しました。
新宿区議会のHPに質疑の動画があるので、あわせてご確認ください⇒https://smart.discussvision.net/smart/tenant/shinjuku/WebView/rd/speech.html?council_id=94&schedule_id=6&playlist_id=23&speaker_id=61&target_year=2026
① 大前提!生活保護は絶対に必要な制度。外国人への誤情報も正すべき!
まず強調したいのは、生活保護は最後のセーフティネットとして絶対に必要な制度だということです。
生活に困窮した方を窓口で追い返す「水際作戦」を肯定するものではありません。また、外国人が生活保護を受けやすい、受給者の多くが外国人だといった、事実に基づかない情報によって受給者を攻撃することにも反対です。
今回、資料要求した数字では、令和7年度末の生活保護受給者9,095人のうち、日本国籍は8,511人、外国籍は584人。
**外国籍の受給者は全体の約6.4%**です。
一方、新宿区の人口に占める外国籍住民の割合は約15%です。外国籍住民の人口比率と比較しても、生活保護受給者に占める外国籍の割合は低いのです。
生活保護については、正確なデータに基づいて議論しなければなりません。
そのうえで、制度を納税者の理解のもとで維持するためにも、不正受給には厳正に対応する必要があります。
② 不正受給は2年間で倍増!その原因は?
今回、私が資料要求した生活保護法第78条の適用状況は次のとおりです。
| 年度 | 件数 | 徴収決定額 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 42件 | 8,050万円 |
| 令和6年度 | 66件 | 約9,040万円 |
| 令和7年度 | 84件 | 1億1,390万円 |
2年間で件数は倍増しています。
一方、生活保護受給者数は令和5年度末の9,635人から令和7年度末には9,095人へ減少しています。
受給者が減っているのに、不正受給として処理された件数は増えているのです。
私は、この数字だけを見て行政を批判するのではなく、**「実際の不正が増えているのか、それとも調査によって発見できる件数が増えたのか」**と質問しました。
保護担当課長によると、区ではマイナンバーを活用した情報連携を強化し、手当や年金などの未申告収入を確認する機会が増えているとのこと。
さらに、これまで紙で行っていた調査を電子化したことで、回答を得られる件数が増え、徴収につながるケースも増えていることがわかりました。
つまり、不正受給の発見能力が向上したことも、件数増加の一因と考えられます。
これは行政の取り組みとして評価すべきことです。ただし、実際の不正の発生件数が増えている可能性まで否定できるわけではありません。
③ 「その他」の不正受給が約3倍!正体はコロナ禍の特例貸付だった!
さらに、令和7年度の84件について内訳を確認しました。
- 可処分収入の未申告:45件
- 年金等の未申告:8件
- その他援助収入等の未申告等:31件
私が注目したのは「その他」の31件です。
令和5年度は11件、令和6年度は22件、令和7年度は31件と、2年間で約3倍に増えています。
「その他」だけでは、何が起きているのかわかりません。
そこで具体的な内容を質問したところ、主な原因は、コロナ禍に社会福祉協議会が実施した特例貸付だったことが判明しました。
本来対象外だった生活保護受給者が貸付を受け、その事実が後の調査で確認されたケースです。
区は、この特殊要因による件数増加は今後収まっていくとの見通しを示しました。
なお、該当する金額は約1,000万円で、徴収決定額全体に占める割合は比較的小さいとの説明でした。
④ 不正受給は早期発見が重要!調査期間が2~3か月から7~10日に短縮!
今回、特に重視したのが、不正受給の早期発見です。
従来の課税調査では、前年1年間の収入情報をもとに調査するため、どうしても発見までに時間がかかります。
不正受給の発見が遅れれば、その間に返還しなければならない金額が100万円、200万円と膨らむ可能性があります。
これは税金の問題であると同時に、返還義務を負う受給者本人にとっても大きな負担です。
早く発見し、少額のうちに是正することが、納税者と受給者の双方を守ることにつながります。
そこで、もっと早く未申告収入を把握できないのかと質問しました。
課長からは、区が今年度から「財産調査システム」を活用した調査を開始しているとの答弁がありました。
これまで金融機関への照会は紙で行い、回答まで2~3か月かかっていましたが、新システムでは約1週間~10日で回答が得られるようになったというのです。
もちろん、課税情報が得られるまでの時間がなくなるわけではありません。しかし、その後の調査を大幅に迅速化できることは重要な改善です。
区は今後も、このシステムを活用して不正受給額の拡大を可能な限り抑制していく方針を示しました。
⑤ 回収不能となった金額は半減!ただし成果の検証が必要!
最後に、不正受給に伴う返還金のうち、回収できずに不納欠損として処理された金額についても質問しました。
| 年度 | 不納欠損額 |
|---|---|
| 令和5年度 | 3,596万円 |
| 令和6年度 | 2,069万円 |
| 令和7年度 | 1,744万円 |
2年間で約51%減少しています。
ただし、これは令和7年度に発生した不正受給額のうち1,744万円が回収できなかった、という意味ではありません。過年度の債権も含む数字です。
私は、この減少が行政の回収努力の成果なのかを確認しました。
課長は、ケースワーカーへの研修や分割返還の働きかけを行っていると説明する一方、減少がその成果だとは断言できないと回答。
また、令和7年度の不納欠損額のうち約1,100万円は、既に亡くなった方に関する債権だったことも明らかになりました。
数字が改善したからといって、安易に成果と決めつけず、原因を検証することが重要です。
⑥ 不正受給対策は「弱い者いじめ」ではない!生活保護制度を守るために必要!
不正受給を厳しく取り締まることに対して、「弱い者いじめではないか」という批判もあります。
しかし、私は違うと考えています。
生活保護は、納税者の負担によって支えられている大切な制度です。
不正受給を放置すれば、制度そのものへの信頼が失われかねません。その結果、生活保護に対する理解が薄れ、本当に支援を必要としている方が困ることにもつながります。
だからこそ、必要な方には確実に支援を届ける。一方で、不正受給は早期に発見し、適切に返還を求める。
この両立が重要なのです。
今回の質疑では、不正受給の増加要因を明らかにするとともに、マイナンバー連携や財産調査システムなど、区が進めている改善策の実態を確認できました。
生活保護制度を守るために、不正受給を見逃さない。税金を守ると同時に、本当に困っている人を守る。
今後も、データに基づいて行政の取り組みを検証し、公平で信頼される生活保護制度を目指していきます。













