新宿区議会議員の渡辺やすしです。
2026年9月の新宿区議会代表質問で取り上げた「基金運用改革」。その続編として、令和8年決算特別委員会でも、約568億円に上る区民の財産をどう運用すべきか、会計管理者に質問しました。
動画は新宿区議会のHPから確認できます→
今回の質疑では、新宿区の基金運用利回りが23区比較で低迷している原因と、今後73億円もの資金を再運用する機会があることが明らかになりました。
① 区長が「基金運用の最適化」を明言!その続編として決算委員会で追及!
私は9月13日の政策ブログで、金利も物価も上昇する時代に、区民の財産である基金をもっと効率的に運用すべきだと問題提起しました。
令和7年度末の新宿区の基金残高は約568億5,000万円。運用収入は約1億7,800万円、利回りは0.32%です。
基金は元本を減らさないことが重要です。しかし、物価が上昇する中では、元本を維持するだけでは実質的な価値が目減りする可能性があります。
そこで9月17日の代表質問で区長に見解を求めたところ、物価上昇によって基金の実質的な購買力が低下する場合があるとの認識が示されました。
さらに区長は、預金と債券の配分、債券の年限や満期構成、預金先などを最適化し、運用収益を高める方針を明言しました。
9月29日の政策ブログでは、この答弁を成果として報告しました。
では、実際の基金運用にはどのような課題があるのか。
今回の決算特別委員会では、さらに一歩踏み込み、具体的な運用商品や利率を確認しました。
② 新宿区の利回りは改善しているのに、23区ではワースト2位!
私が新宿区議会事務局と連携して行った23区調査では、新宿区の基金運用利回りは、令和5年度0.135%、令和6年度0.217%と比較的上位でした。
23区調査結果はこちらで公開しています→https://tokyo23-fund-observatory.yoheisaiki.chatgpt.site/
ところが、令和7年度は0.32%まで改善したにもかかわらず、回答があった19区の中では下から2番目に。
新宿区自身の利回りは上がっているのに、他区との相対的な順位は大きく下がったのです。
私は、その原因を明らかにするため、区が保有する債券の購入時期、利率、満期について質問しました。
会計管理者からは、平成30年に購入した5億円の地方公共団体金融機構債が、令和7年7月25日に満期を迎えたとの答弁がありました。
その利率は、わずか0.085%。
一方、令和7年度に新たに運用した定期預金は、3口合計50億円で利率0.8%台でした。
金利差は約10倍!
もちろん、債券と定期預金は運用期間などが異なるため単純比較はできませんが、金融環境が大きく変化したことが分かります。
ちなみに、満期を迎えた5億円の債券は、その後、定期預金に切り替えて再運用したとのことでした。
③ 低金利時代の10年債が40本以上!会計管理者も原因を認める!
さらに、現在保有する債券について確認すると、令和3・4年度の超低金利時代に購入した、利率の低い10年債が40本強あることが判明しました。
令和3年度購入分の利率は、おおむね0.1%。令和4年度購入分も0.3~0.5%程度です。
満期は令和13~14年頃になります。
つまり、過去の超低金利時代に購入した債券が、現在も基金の中に数多く残っているのです。
私は、こうした長期債券が現在の基金全体の利回りを押し下げているのではないかと質問しました。
会計管理者は、当時の低金利環境では苦渋の選択だったとした上で、私の指摘を認めました。
ただし、私は過去の運用判断を批判するつもりはありません。
当時は超低金利であり、安全性を確保しながら一定の利回りを固定することには合理性がありました。将来の金利を正確に予測することなど、誰にもできません。
重要なのは、過去の判断を振り返り、次の運用に生かすことです。
なぜ5年ではなく10年債を選んだのか。なぜその金額を固定したのか。満期をどの程度分散したのか。
こうした判断を検証する仕組みについて質問すると、会計管理者は、会計室内の検討会で運用実績を検証し、より効率的な運用手法を研究していくと答弁しました。
④ 今後73億円が満期に!再運用で基金収入を増やすチャンス!
今回の質疑で、特に重要だったのが、今後満期を迎える債券の規模です。
会計管理者によると、令和8年度に3件、令和9年度に4件の債券が満期を迎え、金額として73億円が示されました。
今後、73億円規模の資金について、運用方法を見直す機会があるのです!
仮に73億円の運用利回りを0.1ポイント高められれば、単純計算で年間730万円。0.5ポイントなら3,650万円の収入差になります。
もちろん、実際の運用収入は満期時期や金融環境によって変わります。
私は、満期を迎えた資金を従来と同じ商品に機械的に再投資するのではなく、基金ごとの資金需要、預金金利、債券利回り、満期構成などを比較して運用先を決めるべきだと提案しました。
これに対し会計管理者は、会計室内での研究・検討の機会を今以上に増やし、少しでも多くの運用収入を得られるよう取り組むと答弁しました。
⑤ 金融機関同士を競争させ、より有利な預金金利を!
さらに、定期預金の預け入れ先についても質問しました。
金利が上昇する時代には、複数の金融機関から条件を提示してもらい、競争を促すことが重要です。
足立区では、金利上昇局面を捉え、定期預金の預託先を積極的に開拓しています。
新宿区でも同様の取組ができないか質問したところ、会計管理者からは、現在10以上の金融機関等に金額と期間を示して提案を受け、最も金利の高い預金を選んでいるとの答弁がありました。
新規の金融機関の開拓も進めているとのことで、この点は評価したいと思います。
⑥ 「金利のある世界」に対応し、区民の財産をもっと働かせる!
今回の質疑で明らかになったのは、新宿区が不適切な運用をしていたということではありません。
過去の超低金利時代には合理性があった長期債券が残る一方、現在は金利が上昇し、より有利な条件で運用できる可能性が広がっているということです。
9月の代表質問では、区長から基金運用の最適化と収益向上の方針を引き出しました。
そして今回の決算特別委員会では、低利回りの原因を具体的に確認し、今後の再運用の機会と改善の方向性を明らかにしました。
「元本を守る」だけでなく、「区民の財産の実質的な価値も守る」。
株式などによる投機的な運用を求めているのではありません。安全性と流動性を大前提に、金利のある世界に対応した運用を徹底することが重要です。
新たに税金を集めるのではなく、今ある約568億円の基金をより効率的に運用し、区民サービスに還元する。
これからも基金のポートフォリオと運用実績を継続的に検証し、「最少の経費で最大の効果」を実現する財政改革を進めていきます!













