議会活動

部屋は9割埋まるのに、施設は4割しか使われていない!?年間6億円の「赤字」新宿区保養所を、決算特別委員会で徹底検証!

こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。

明日、9月29日の決算特別委員会では、私がこれまでも継続して取り上げてきた、新宿区が所有する2つの保養所について質問します。

 箱根にある「中強羅区民保養所(箱根つつじ荘)」と、山梨県北杜市にある「区民健康村(グリーンヒル八ヶ岳)」の二つの保養所を新宿区は保有しています。

 令和7年度決算では、中強羅区民保養所に約2億6,000万円、区民健康村に約3億2,000万円、さらに受付業務に約3,000万円。合わせると、年間約6億円規模の税金が投入されています。

 私は以前から、「これだけの税金を投入することが、本当に『最少の経費で最大の効果』になっているのか」と、議会や委員会で、問題提起してきました。

 同時に、税金を投入して維持するのであれば、少なくとも「区民のための施設」という性格をもっと明確にするべきだとして、区民優先予約期間の拡大、区民と区外利用者の料金差の見直し、利用実態のデータ化なども求めてきました。

その結果、令和7年度から区民優先利用や料金設定などの見直しが進み、利用実態のデータ化も進んでいます。

この点については、しっかり評価しています。

しかし、データがそろってきたからこそ、今度はもう一段踏み込んだ議論が必要です。

今回、私が投げかけたテーマは、

「そもそも新宿区が、これからも2つの宿泊施設を所有し続けることが、区民の保養という政策目的を実現するために最も合理的な方法なのか」

ということです。

■「運営が良い」と「区が所有すべき」は別問題

まず、中強羅区民保養所。

令和7年度の宿泊者数は2万2,124人。このうち区民は1万2,916人で、前年度より2,188人増加しました。

指定管理者の事業評価でも、物価高騰の中で利益率は事業計画を上回り、利用者サービスも高く評価されています。

指定管理者が努力していることは、私も評価しています。

一方、区民健康村は状況が違います。

利用率は51.2%から47.6%へ低下。稼働率も88.2%から83.8%へ低下しました。

さらに営業利益は、令和6年度の約85万円の黒字から、令和7年度には約1,565万円の赤字へ。

ここで重要なのは、

「指定管理者がちゃんと運営しているか」

という問題と、

「そもそも新宿区がこの規模の施設を所有し続ける必要があるのか」

という問題を分けることです。

運営改善だけでは解決できない問題なら、施設そのもののあり方まで検証しなければなりません。

■「部屋は9割埋まる。でも施設は4割しか使われていない」

今回、新宿区が公表した施設白書には、非常に興味深い数字があります。

令和6年度の「客室稼働率」は、

中強羅 94.8%
区民健康村 88.2%

です。

これだけを見ると、「ほとんど部屋が埋まっている。よく利用されているじゃないか」と思います。

ところが、施設の最大収容人数に対して、実際に何人宿泊したのかを見る「定員稼働率」は、

中強羅 41.6%
区民健康村 48.0%

です。

つまり、

「部屋は約9割埋まっている。でも施設全体の収容能力から見ると、使われているのは4割台」

ということです。

背景には、4人部屋などを少人数で利用するケースがあります。

今後も少人数での旅行が定着するのであれば、「もっと利用者を増やしましょう」という運営改善だけで収支を大幅に改善することには限界があります。

だから私は、

「現在の4人部屋を主体とした施設規模そのものが、現在の区民ニーズに合っているのか」

まで検証するよう求めます。

■「延べ1万人利用」と言われても、本当は何人?

もう一つ問題提起したのが「延べ利用者数」です。

例えば、「年間1万人の区民が利用」と聞くと、かなり多くの区民が利用しているように感じます。

しかし、1万人が1回ずつ利用した場合も、2,000人が5回ずつ利用した場合も、延べ利用者数は同じ1万人です。

公共サービスとしてどれだけ広く区民に恩恵が行き渡っているかを判断するなら、「延べ人数」だけでは不十分です。

そこで、中強羅と区民健康村について、重複利用を除いた「実利用者数」と、新宿区民全体の何%が利用しているのかを把握するよう求めます。

施設を残すかどうか議論するのであれば、まず「実際に何人の区民が利用しているのか」を知らなければ始まりません。

■実は10年前から問題は分かっていた

そして重要なのが、これは突然出てきた問題ではないということです。

平成28年の施設白書でも、老朽化、利用状況、コストなどを踏まえ、中長期的な施設のあり方を考える必要性は認識されていました。

さらに平成29年の公共施設等総合管理計画では、保養施設について、区民ニーズに対応する民間サービスの供給が見込まれることから、大規模改修や建替えの時期などに合わせて民間サービスへ移行していく方向性が示されています。

つまり、

「民間サービスへの移行も含めて考えるべきだ」

というのは、私が突然言い始めた話ではありません。

もともと新宿区自身が示してきた方向性です。

それから約10年。

中強羅は供用開始から50年以上、区民健康村も30年以上が経過しました。

10年前には「将来の問題」だった老朽化が、いよいよ現実の問題になっています。

だからこそ私は、

「10年前に将来課題だったものを、さらに次の10年に先送りしてはいけない」

と指摘します。

何億円、何十億円という大規模改修が必要になってから、

「さて、この施設を残しますか、やめますか」

と考えるのでは遅いんです。

■品川区は「15年間のコスト」を比較

参考になるのが品川区です。

品川区は区民保養所の廃止を決めましたが、単純に「赤字だから廃止」と決めたわけではありません。

利用状況、区民アンケート、財政負担、施設の老朽化、民間事業者へのサウンディング、他区の状況などを調査。

さらに、複数の選択肢について、単年度の運営費だけではなく、今後15年間のランニングコストと大規模改修費まで比較しました。

私は新宿区でも、同じような比較が必要だと考えています。

なぜなら、

「区民の健康増進や余暇活動のために保養サービスを提供すること」と、

「新宿区が箱根や八ヶ岳にホテルを所有すること」

は、同じではないからです。

区民の保養という目的を維持しながら、民間宿泊施設を借り上げる方法もある。協定施設を利用する方法もある。宿泊費を助成する方法もあります。

施設を残すとしても、今と同じ規模・機能である必要があるのかという議論もできます。

そこで私は、

①現在の2施設をそのまま維持する
②施設規模・機能を縮小する
③民間施設の借上げ、協定、宿泊費助成などへ移行する

この3案について、今後15年程度の運営費、修繕費、大規模改修費、そして区民が受けられるサービス水準を、同じ条件で比較するよう求めます。

■「評価」から「選択」へ

私は「箱根と八ヶ岳を明日廃止してください」と言っているわけではありません。

今回の外部評価を見ても、指定管理者は努力しています。中強羅では区民利用者も増えています。

だからこそ、感覚論で「残せ」「廃止しろ」と決めるべきではありません。

数字で比べればいいんです。

施設を所有することは「目的」ではありません。

区民の健康増進や余暇活動を充実させるための「手段」です。

そして、その手段が30年前、50年前と同じである必要もありません。

残すのであれば、なぜ残すのか。

縮小するのであれば、どれだけ税負担を減らせるのか。

民間サービスへ移行するのであれば、どの程度の区民サービスを維持できるのか。

選択肢を同じ条件で比較して、数字で区民に示してから判断すべきです。

大規模改修が現実になってから考えるのでは遅い。

お金をかける前に、選択する。

次期公共施設等総合管理計画の策定を、2つの保養所のあり方を本格的に検証する機会とするよう、引き続き求めていきます。

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