こんにちは。新宿区議会議員の渡辺やすしです。
新宿区では、路上喫煙禁止パトロールなどの対策に多額の税金を投入しています。しかし、区民の皆さんからは「自宅の近くで毎日のように路上喫煙されている」「注意してもやめてくれない」といった声が寄せられています。
そこで、令和8年の新宿区議会決算特別委員会では、約1億6,691万円をかけた路上喫煙対策が、本当に成果を上げているのかを、区のデータを基に検証しました。
1年間の期間限定で、新宿区議会HPに動画が保存されているので、ぜひ、チェックしてください。
これまでも新宿区での路上喫煙問題については、議会で質疑を重ねてきた。渡辺やすしの重点政策です。
① 生活道路の路上喫煙率は目標未達!それでも区の評価は「適切」!?
行政の仕事は、予算を使い、事業を実施すれば終わりではありません。
大切なのは、実際に問題が改善したかという「アウトカム(政策の成果)」です。
新宿区は路上喫煙率について、駅周辺と生活道路にそれぞれ目標値を設定しています。
| 調査地点 | 目標値 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|---|
| 主要駅周辺 | 0.10% | 0.11% | 0.10% |
| 生活道路 | 0.50% | 0.50% | 0.55% |
駅周辺は改善し、目標値を達成しました。一方、生活道路では0.50%から0.55%に上昇し、目標を達成できませんでした。
ところが、区の令和7年度の事業評価は「適切」。
私は、「目標値を達成できていないのに、なぜ事業全体を『適切』と評価できるのか」と質問しました。
区は、路上喫煙率を経年で比較しており、目標値に概ね近いことや、加熱式たばこの集計を増やしたことなどを理由に「適切」と評価したと説明しました。
しかし、加熱式たばこも路上喫煙対策の対象です。集計対象を増やしたことを理由に、目標未達を簡単に容認してよいのでしょうか。
なお、調査方法の変更が数値に影響した可能性はあるため、実態がどの程度悪化したのかは、同一条件での比較が必要です。
それでも、生活道路で路上喫煙に困っている区民がいる以上、対策の実効性を検証し続ける必要があります。
② 独自に資料要求!パトロールの声掛け件数は3年間で約1万8,000件減少!
今回、私が特に注目したのが、路上喫煙禁止パトロールによる「声掛け件数」です。
路上喫煙者を発見し、喫煙をやめるよう指導した件数を、資料要求によって確認しました。
| 年度 | 声掛け件数 |
|---|---|
| 令和5年度 | 155,408件 |
| 令和6年度 | 145,249件 |
| 令和7年度 | 137,013件 |
令和5年度から令和7年度までに18,395件、約11.8%も減少しています。
声掛け件数が減ること自体は、必ずしも悪いことではありません。路上喫煙者が減った結果であれば、むしろ望ましいことです。
しかし、生活道路の路上喫煙率が目標を達成できていない一方で、声掛け件数が減少していることには疑問が残ります。
私は、**「路上喫煙している人がいるにもかかわらず、パトロールが十分に発見できていないのではないか」**と質問しました。
区は、苦情の多い場所や人通りの多い駅周辺を重点的に巡回しており、パトロールの方法を大きく変えたわけではないと説明。見逃しが増えたとは考えていないとの答弁でした。
ただし、見逃しの実態を把握することは難しいとも認めています。
声掛け件数の減少だけでパトロールの効率が悪化したとは断定できません。
だからこそ、月別・地域別の声掛け件数や苦情の発生場所などを分析し、限られた人員を、路上喫煙が多発する場所に効果的に配置する仕組みが必要だと考えます。
③ 喫煙者本人への注意だけでは限界!会社や学校への働きかけを提案!
もう一つ、今回の質疑で提案したのが、パトロールの役割の見直しです。
路上喫煙禁止パトロールは、喫煙者を発見して注意することが基本ですが、注意しても喫煙をやめない人もいます。
実際、区民の方が路上喫煙者の勤務先や学校を調べ、私に情報を寄せてくださったことがありました。
その情報を私から区に提供し、区が会社などに働きかけた結果、路上喫煙が収まった事例が、私の任期中にも複数あります。
つまり、喫煙者本人への注意だけでなく、勤務先の会社や学校など、所属する組織に働きかけることが効果的な場合もあるのです。
そこで私は、パトロール員が現場で得た情報を区に集約し、路上喫煙が多発する会社・学校・ビルなどを把握したうえで、区が組織に改善を求める取り組みを強化すべきだと提案しました。
これに対し、ごみ減量リサイクル課長は、組織への働きかけは「効果的」だと認めました。
また、既に学校への働きかけや事業者へのポスティングなどを実施していると説明したうえで、**「引き続きそういった取り組みを強化していく」**と答弁しました。
新しい制度の導入が決まったわけではありませんが、組織への働きかけを強化する方針を確認できたことは、今回の質疑の成果です。
④ 税金を増やす前に、今ある予算で成果を最大化する!
路上喫煙は、自宅の近くでたった1人が吸っているだけでも、住民にとっては深刻な問題です。
一方、区内のあらゆる道路を24時間監視することは現実的ではありません。
だからこそ、行政にはデータを活用し、限られた予算と人員で最大限の成果を出すことが求められます。
今回の質疑で、私は次の3点を重視しました。
- 路上喫煙率という成果指標で事業を評価すること
- 声掛け件数などのデータを活用してパトロールの配置を改善すること
- 個人への注意だけでなく、会社や学校への働きかけを強化すること
大切なのは、パトロールに何人配置したか、何億円使ったかではなく、実際に路上喫煙をどれだけ減らせたかです。
私は、路上喫煙対策そのものを否定しているのではありません。区民の生活環境を守るために必要な事業だからこそ、その効果を厳しく検証すべきだと考えています。
「予算を増やせば解決する」ではなく、「今ある税金をもっと効果的に使う」。
今後も路上喫煙率や声掛け件数の推移を確認し、データに基づく路上喫煙対策の改善を求めていきます。














